手足など関節痛の原因とは|関節痛を起こしやすい人や解消法も合わせて紹介
(画像=japolia/stock.adobe.com)

加齢により、手足や膝などの関節痛が起こりやすくなります。関節痛の原因には運動不足による筋力の衰えや肥満、生活様式といった生活習慣も深く関わっています。

この記事では、関節痛についてまとめました。関節痛を起こしやすい人や解消法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

関節痛とは

関節痛とは、関節を曲げたり伸ばしたりする際に生じる痛みのことです。

加齢とともに発症しやすいという特徴があり、厚生労働省の調査では40歳頃から関節痛を訴える人が急増します。また、関節痛は男性よりも女性のほうが起こりやすいといわれています。(※1)

※1 e-Stat『国民生活基礎調査 平成28年国民生活基礎調査 健康 報告書掲載 全国編』

関節痛の原因

関節痛の原因はさまざまですが、主に関節に負担がかかることで生じます。

日本において、関節痛の原因で最も多いのは変形関節症です。加齢とともに骨と骨の間にある軟骨がすり減り、骨が炎症を起こして痛みを生じます。

関節痛を引き起こす原因は、大きく分けると以下の5つです。

  • 関節リウマチ
  • 痛風
  • ウイルスや細菌などの感染症
  • 外傷
  • インフルエンザなどの病気

中年男性は痛風、中年女性は関節リウマチが多いです。

関節痛の症状

関節痛の症状で最も多いのは痛みです。他には関節を動かしにくかったり、炎症を起こしている場合は腫れや熱を伴ったりすることもあります。

関節痛が悪化すると歩行などの日常生活に支障をきたし、要介護や寝たきりにもつながります。厚生労働省の『2019年 国民生活基礎調査の概況』によると、要支援者の「介護が必要になった原因」は「関節疾患」が18%と最多です。

関節痛を起こしやすい人の特徴

関節痛を起こしやすい人には、いくつか特徴があります。以下に当てはまる方は関節に負担がかかっている可能性が高いため、注意が必要です。

高齢者(特に女性は注意)

関節を支える筋肉は、加齢とともに弱くなります。筋肉が弱くなると関節がぐらつきやすく、変形の原因にもなります。

女性は、男性に比べて関節痛を発症しやすいといわれています。男性よりも関節の面積が小さく、一つの関節にかかる荷重が大きいことに加え、関節が柔らかく衝撃を受けやすいためです。また、女性は閉経後にホルモンの影響で、骨と関節がもろくなりやすい傾向があります。

O脚

足が外側に湾曲して両足の間に隙間ができるO脚は、日本人に多く見られます。関節の内側に負担が集中するため、関節軟骨の摩擦や変形を起こしやすい状態といえます。

O脚のまま高齢になると、筋肉量や骨密度の低下によって関節への負担が増え、関節痛が悪化するリスクが高くなります。

O脚はあぐらなどの座り方や、悪い姿勢などによっても起こります。自分の姿勢の癖を把握し、正しい姿勢を意識することが大切です。

肥満

肥満によって体重が増加すると、身体を支える腰や膝などに大きな負荷がかかり、関節痛を引き起こします。歩行時の膝にかかる負荷は体重の約3倍といわれており、体重の増加は関節への負担に直結します。

肥満の人は運動不足でもあるため、関節を支える筋肉の衰えも関節痛のリスクを高める要因の一つといえます。

過去に激しいスポーツやけがで関節を痛めた経験がある

激しいスポーツやけがなどで関節を痛めたことがある場合は、関節痛の発症が早まります。

関節の軟骨は加齢によって減っていきますが、スポーツで酷使されたり、けがで損傷したりした軟骨は回復が難しく、痛みが出やすくなるのです。

関節痛の予防法

関節痛は、運動や姿勢といった生活習慣を見直すことで予防できます。

適度な運動

適度な運動で筋力を鍛えると関節を支える力が強くなるため、関節痛を予防できます。

ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動を行いましょう。特に水中ウォーキングは、関節に負担をかけることなく筋トレと有酸素運動の効果が得られるため、おすすめです。

運動習慣がない人は「1駅分歩く」「仕事や家事の合間に簡単なストレッチをする」など、日常生活の中に運動を取り入れましょう。

身体や関節を温めて血行を良くする

身体が冷えると血行が悪くなったり、筋肉が硬くなったりして関節痛を招きます。身体や関節は冷やさないよう注意しましょう。

入浴時はゆっくり湯船に浸かる、冷えるときは膝や肘などにサポーターを着けるといった方法がおすすめです。

関節に負担をかけないように意識する

頻繁に立ったり座ったりといった動作を繰り返すと、関節に負担がかかります。負担を減らすためには畳の上での生活よりもテーブルと椅子、和式トイレよりも洋式トイレのほうがベターです。

悪い姿勢や足に合っていない靴も、身体の重心がずれて膝や関節に負担をかけることにつながります。姿勢や靴、生活様式などを見直して、関節をいたわりましょう。

肥満気味の人は、減量に取り組みましょう。体重が1kg減ると、膝への負担は約3kg分減るといわれています。

コンドロイチンやビタミン類を摂取する

加齢によって関節軟骨に含まれている成分(コンドロイチンなど)が減ることも、関節痛を引き起こす原因の一つです。コンドロイチンは、軟骨の弾力性や保水性を維持し、関節の健康を維持すると言われています。

ただし、コンドロイチンやビタミンの摂取は、関節痛の緩和や回復に効果がないといった研究もあり、以前議論が続いている状態です。効果がある、効果がないとどちらの意見もあるため、ご自身でこの点を理解した上で、市販薬の購入をお考えください。

※参考文献
関節痛に対するコンドロイチンおよびグルコサミンの有効性(日本地域薬局薬学会誌)
The new england journal of medicine(マサチューセッツ内科外科学会)
グルコサミンやコンドロイチンは飲んでも意味がない!?(ゆうしん内科クリニック)

関節痛の解消法

ここでは、関節痛が起こってしまったときに自分でできる対処法を紹介します。

  • お風呂などで関節を温めて血行を良くする
  • 関節に熱や腫れがある場合は氷のうなどで冷やす
  • 関節や周辺の筋肉をマッサージする(関節に熱や腫れがある場合は控える)

痛みが激しい場合や発熱がある場合、安静にしていても痛む場合は早めに医療機関で受診しましょう。

関節痛のセルフチェックをしてみよう

関節痛は、生活習慣とも深く関わっています。自覚がないまま、日常生活の中で関節に負担をかけてしまっているかもしれません。セルフチェックで確認しましょう。

以下は健康サイト(アリナミン製薬)で公開されている「関節痛セルフチェック」です。

1~8で当てはまる項目を数えてください。

  1. 長時間立ち続けることが多い
  2. 重い荷物を持つことが多い
  3. O脚である
  4. 階段の上り下りで膝に痛みを感じる
  5. 和室での生活が中心である
  6. トイレは和式である
  7. 姿勢が悪い
  8. 肥満、あるいは肥満気味である

判定は以下のとおりです。

  • 1~2つ:関節痛予備軍です。
  • 3つ以上:関節痛の一歩手前、あるいはすでに関節痛が起こっているかもしれません。

関節痛は、生活習慣の見直しによって予防や痛みの軽減が期待できます。1つでも当てはまった方は、日々の生活の中で関節に負担をかけないように意識しましょう。

関節痛予防は健康寿命を延ばすことにもつながる

関節痛が悪化すると歩行や日常生活が困難になり、寝たきりのリスクも高まります。関節痛を予防することは健康寿命を延ばすことにもつながるので、関節に負担をかけていないかどうか、日々の生活習慣を見直してみましょう。