運動不足は肥満や生活習慣病のリスクを高めるだけではなく、メンタルに対しても良い影響を与えません。うつ病や自律神経失調症になりやすくなるため、手軽にできる運動を見つけ、毎日身体を動かすべきです。この記事では、運動不足とメンタルについて考えます。
運動の効果とメンタルとの関係性
最初に運動不足とメンタルの関係性を説明します。
運動不足とメンタルの関係性を理解するためには、まず運動が身体にどういった効果をもたらすのかを知っておく必要があります。
運動が身体にもたらす効果
運動をすると、「セロトニン」や「エンドルフィン」といったホルモンが分泌されます。これらのホルモンにはメンタルを安定化させる作用があるため、運動をすることはメンタルヘルスにとって非常に重要です。
このセロトニンやエンドルフィンは軽い運動であっても分泌されるため、やめたくなるような激しい運動をたまにするより、疲れすぎて嫌にならない程度の運動を毎日続けていく方が、結果として多くのセロトニンやエンドルフィンが分泌されることになります。
ちなみにセロトニンが分泌されると安心感が高まり、平常心も維持されやすくなります。エンドルフィンはメンタルを安定化させるだけではなく、免疫力を上げたり痛みを和らげたりといった働きもします。
また、ハーバード大学で過去に行われた研究によると、運動をする頻度が高い人は、そうでない人よりもうつ病を発症する確率が2～3割低いようです。
睡眠の質の低下や体内時計の乱れも要注意
睡眠不足はメンタルにとって大敵です。運動不足だと身体があまり疲れていないため、質の良い睡眠を取りにくくなります。
つまり、運動不足は睡眠の質の低下につながり、結果としてメンタルに悪い影響を与えてしまうのです。
怖いのは睡眠の質の低下だけではありません。なかなか寝付けなかったら朝の起床時間も乱れてきます。体内時計は毎朝リセットされますが、起床時間が乱れるとこの体内時計も狂い始めます。体内時計が狂うと、身体にさまざまな悪影響が出てきます。
手軽にできる5つの運動
このように運動不足はメンタルに良い影響を与えません。そのため、積極的に身体を動かす習慣をつけるべきです。
しかし、身体を動かし始めても三日坊主で終わってしまっては、本末転倒です。そのため「疲れすぎない」「楽しい」「簡単にできる」といったことを重視して、どんな運動をするかを決めると良いでしょう。
ここからはその候補となる運動を5つ紹介します。
運動1. 毎朝散歩をする
おすすめの運動の1つが、毎朝の散歩です。体内時計的にも朝に日光を浴びることは良いですし、さらに運動もでき一石二鳥です。
ただし、早起きが苦手で毎朝の散歩が続かない人もいるでしょう。
そんなときは、ちょっと散歩が楽しくなるような工夫をしてみてはいかがでしょうか。ラジオを聞いたり、いま流行している音声SNSを楽しんだり、スマートフォンに歩数アプリを入れたり、早起きすることが楽しみになる仕組みを作ることによって、早起きが苦手でなくなるかもしれません。
運動2. YouTubeでエクササイズ
1人だとなかなか運動を続けられない人は、YouTubeのエクササイズ動画やダンス動画、ヨガ動画などを活用してみてはいかがでしょうか。
5分や10分程度の動画をアップロードしているチャンネルはたくさんあり、画面のインストラクターと一緒に身体を動かしている気分になれます。
運動3. 階段を積極的に使う
朝の時間帯も忙しく、YouTubeを観る時間もなかなか確保しにくい人は、日々の生活の中に運動を組み込む工夫が求められます。その工夫の1つが、エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う、という方法です。
上層階のオフィスまで階段を使ったり、マンションに住んでいる場合は帰宅時に階段を登れば、以前より身体への負荷は大きくなり、手軽な運動になります。
運動4. 電車やバスの利用を少なくする
電車やバスの利用を少なくすることも、運動不足の解消につながります。
本来降りる駅の1つか2つ手前で降りれば、必然的に目的地まで歩かなければならないことになります。
目的地までのルートがいくつか選べるのであれば、毎日違うルートを選んで歩けば、「こんなところにこんな良さそうなレストランがあったんだ！」などのちょっとした発見があって、嬉しくなるかもしれません。
運動5. 縄跳びをする
運動不足の解消に縄跳びをしている人も意外といます。
毎朝仕事へ行く前、帰宅してから夕食前、というように、時間を決めて5〜10分程度取り組むとよいでしょう。
二重跳びや交差跳びなどの新しい技に挑戦するなどしていけば、運動不足解消のための縄跳びも、少しは楽しくなるはずです。
運動はお金がかからない最高の「健康投資」
メンタルが不調になると、仕事も私生活もうまくいかなくなります。
その状態を防ぐ運動はお金もほとんどかからない最高の「健康投資」です。いまあまり運動ができていない人も、めんどうくさいと思わずに今日から身体を動かし始めてみてはいかがでしょうか。