痛くて歩くのが苦痛…多くの人が悩む膝痛の原因|効果的なストレッチ方法は?
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膝痛は「ひざつう」とも「しっつう」とも読みます。関節痛の中でも、特に膝の痛みは日常生活に支障をきたします。症状がひどくなると立ったり座ったりといった動作が困難になり、将来寝たきりになるリスクも高まります。

この記事では膝痛についてまとめ、膝痛の原因や解消法、予防法、膝痛を起こしやすい人の特徴について詳しく解説します。

40代から膝の痛みに悩む人が増える

生化学工業株式会社が2022年1月にインターネットで行ったアンケート調査では、膝痛に悩む人の半数以上が「40~50代で痛みを感じ始めた」と回答しています。(※1)

※1 生化学工業株式会社『「ひざの痛みに関する対処法と改善」アンケート結果』

膝痛の原因

膝痛は「膝そのものに原因がある場合」と「膝以外に原因がある場合」に分けられます。

膝に原因がある場合

膝関節やその周辺組織に炎症や変性、けがによる損傷など、何らかの異常が起こることで膝痛が生じます。

具体的には関節に炎症が生じる関節リウマチや、加齢などにより膝軟骨がすり減って関節が変形する変形性膝関節症などが挙げられます。

膝以外に原因がある場合

肥満やO脚、外反母趾、股関節や腰の病気など、膝以外に原因がある場合もあります。肥満は体重増加によって、O脚や外反母趾は無理な姿勢で歩くことによって膝に負担がかかり、膝痛の原因となります。

膝痛の症状

膝痛は身体を動かした時に膝がこわばる、重く感じる、鈍く痛むなどの症状から始まります。症状が進むと、正座や階段の昇り降りをしたときなどに痛みが生じます。膝関節に炎症が起こっている場合は、膝の腫れや熱感も生じます。

前掲のアンケート調査では、膝が痛くてつらいこととして「階段の昇り降り」と回答した人が最も多く、次いで「立ち上がるとき」となっています。

このように膝痛は日常生活に支障をきたし、悪化すると要介護や寝たきりになる場合もあります。厚生労働省の調査でも、関節疾患は「要介護になった原因」の上位に入っています。(※2)

※2 厚生労働省『平成22年国民生活基礎調査の概況』

膝痛を起こしやすい人の特徴

ここでは、膝痛を起こしやすい人の特徴について解説します。

肥満

肥満によって体重が増えると、膝に大きな負担がかかります。歩行時に膝にかかる負荷は体重の約3倍、階段の昇り降りをするときは約6~7倍もの負荷がかかるといわれています。

運動不足

運動不足も膝痛を招きます。膝の関節は太ももやお尻などの筋肉によって支えられているため、運動不足によって筋力が低下すると関節をサポートする力が弱くなり、膝に負担がかかるのです。

O脚

O脚は内反膝とも呼ばれ、両方の膝が外側に曲がっているために左右の膝同士がくっつかない状態を指します。多くの場合、日常生活における座り方や悪い姿勢などの積み重ねによって起こります。

体重による負荷が膝関節の内側に偏ることで軟骨がすり減り、それが変形性膝関節症の原因となります。日本では、膝痛を訴える人の多くがO脚であるといわれています。

女性は男性に比べて膝痛になりやすい

変形性膝関節症患者の男女比は1:4で、女性は男性に比べて膝痛になりやすいといえます。(※3)

理由としては、女性は男性よりも膝を支える筋肉量が少ないことや、閉経後のホルモンの影響で関節や骨がもろくなりやすいことが挙げられます。

※3 日本整形外科学会『「変形性膝関節症」| 症状・病気をしらべる』

ひざ痛の予防法

膝痛は、生活習慣を見直すことで予防できます。

適度な運動やストレッチ

前述のとおり、運動不足は膝痛を引き起こします。適度な運動やストレッチは、筋力アップと関節をほぐす効果が期待できます。

過度な運動は膝に負担をかけるため、日常生活の中で歩く機会を増やしたり、簡単なストレッチをしたりして無理なく運動を取り入れましょう。

座ったままできる、膝に負担をかけないストレッチを紹介します。以下のストレッチは、大正製薬株式会社の『簡単セルフケアで膝の痛みを予防・改善!今日からできる体操もご紹介。』で紹介されているストレッチの一つです。

(片脚15~30秒×3回)
①いすに浅く腰掛け片脚を伸ばす。
②膝の少し上に両手を置き、ゆっくり押して膝を伸ばす。この時背中を伸ばし、足先を上に反らして行う。
③反対の脚も同様に行う。

  1. 出典:大正製薬株式会社『簡単セルフケアで膝の痛みを予防・改善!今日からできる体操もご紹介。』

膝に負担をかけないよう日常生活を見直す

日常生活の中で膝に負担をかけてしまっているケースも少なくありません。

例えば畳や床に座る、正座する、重い荷物を持つ、しゃがむといった動作です。畳など和室での生活よりはテーブルと机、和式トイレよりは洋式トイレのほうが膝への負担を減らせます。

生活習慣や生活様式を見直して、日頃から膝をいたわりましょう。

肥満の場合は体重を減らす

肥満や肥満気味の人は、体重を減らすことが膝痛の予防につながります。体重を1kg落とすと膝にかかる負担が約3kg分減るといわれているため、積極的に減量に取り組みましょう。

膝痛の対処法

ここでは、自分でできる膝痛の対処法を紹介します。痛みが強い場合や対処法を行っても痛みが引かない場合は、早めに医療機関で受診してください。

安静にする|通常の生活はOK

いつも以上に膝をいたわることを心がけてください。
「安静」といってもまったく動かないわけではなく、歩行など通常の動作は問題ありません。しかし、重い荷物を持ったり、頻繁にしゃがんだり立ったりといった動作は避けましょう。

腫れや熱感がある場合は冷やす

膝に腫れや熱感がある場合は炎症を起こしている可能性があるため、氷のうや保冷材などで30分ほど冷やしてください。

冷やしても痛みや腫れが改善しない場合は、すぐに医療機関で受診しましょう。

温めて血行を良くする

腫れや熱感がない場合は、温めるのも効果的です。
膝に温熱効果のあるサポーターを着けたり、使い捨てカイロや温タオルなどで温めたりすると血行が良くなって、膝痛の解消につながります。

膝痛のセルフチェックをしてみよう

膝痛の原因はさまざまですが、中には医療機関での治療が必要なものもあります。
心配な方はチェックリストで確認してみましょう。下記は、ハルメクの『膝が痛い!痛みの症状チェックリストと原因・対処法』で紹介されているチェックリストの引用です。

  1. 朝起きてひざを動かすと痛む
  2. 歩き始めるときにひざが痛む
  3. 階段の上り下りのときにひざが痛む
  4. 椅子から立ち上がるときなどにひざが痛む
  5. 正座がうまくできない
  6. 長時間(30分以上)歩くとひざが痛む
  7. ひざを動かすとギシギシ音がする
  8. ひざが腫れている
  9. ひざの内側を押すと痛む
  10. 市販の湿布や鎮痛剤があまり効かない

8~10に当てはまる場合は変形性膝関節症の可能性があるため、早めに医療機関で受診してください。

その他の項目に1つでも当てはまる場合は、膝痛予備軍です。日常生活の中で膝に負担をかけないように意識し、運動不足ではないかどうかも含めて生活習慣を見直しましょう。

3つ以上の項目に当てはまる場合や、膝痛によって日常生活に支障をきたしている場合は、できるだけ早く医師に相談することをおすすめします。