腰や肩、関節など身体の痛みは医療機関で原因を特定する|一時的な治療ではよくならないことも……
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肩凝りや腰痛などは現代病といわれ、身近な症状といえます。そのため、ついつい放置してしまいがちです。しかし病気が隠れている場合もあるため、医療機関で受診して原因を特定することが大切です。

この記事では、腰や肩、関節など身体の痛みについて詳しく解説します。

肩凝りや腰痛など身体の痛みに悩まされる人は多い

日本には肩こりや腰痛、関節痛などの身体の痛みに悩まされている人が多くいます。特に、肩凝りは現代病といえるでしょう。

厚生労働省の調査によると、日常生活で自覚している症状の中で「肩こり」と「腰痛」は男女とも1位と2位です。(※1)

また、加齢とともに関節痛を訴える人も増え、同省の調査では40歳頃から関節痛を訴える人が急増しています。

※1 『2019年 国民生活基礎調査の概況』(17ページ)

身体に痛みが生じる原因

身体に痛みが生じる理由はさまざまです。病気やけがなどが原因の場合もありますが、多くは生活習慣に原因があります。

特に運動不足は、さまざまな部位の関節や脊椎などを支える筋力の衰えを招き、筋肉や関節が硬くなることによって血行不良や痛みにつながります。

また、長時間のデスクワークやスマホ操作、悪い姿勢、肥満、ストレス・緊張といった心理的なことも身体の痛みを引き起こす原因となります。

代表的な身体の痛み6つ

ここでは、代表的な6つの身体の痛みを解説します。

1.関節痛

関節痛は加齢とともに発症しやすいという特徴があり、関節に負担がかかることで起こります。階段の昇り降りや立ったり座ったりなど、関節を曲げたり伸ばしたりする際に痛みが生じます。

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2.腰痛

腰痛は肥満や運動不足、長時間のデスクワークなどによってリスクが高くなります。日本では、約5人に1人が腰痛に悩んでいると報告されています。(※2)

※2 厚生労働省『2019年 国民生活基礎調査の概況』の千人当たりの腰痛有訴者率から総務省統計局『人口推計(2019年(令和元年)10月1日現在)』による人口を用いて推計

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3.膝痛

膝痛は関節痛の中でも、特に日常生活に支障をきたす疾患です。症状がひどくなると立ったり座ったりといった動作が困難になり、将来寝たきりになるリスクもあります。

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4.肩凝り

肩凝りは長時間のデスクワークなど、首や背中に負担がかかる姿勢によって起こります。肩や首の血行が悪くなったり、筋肉が緊張して硬くなったりすることが原因です。
また、眼鏡が合っていないことによる眼精疲労が原因である場合や、心筋梗塞や狭心症などの病気が隠れている場合もあります。

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5.坐骨神経痛

坐骨神経痛とは下肢(足の後ろからお尻にかけての部分)に痛みやしびれ、麻痺などの症状が現れる状態の総称です。椎間板ヘルニアなどによって、坐骨神経が圧迫されることで起こります。

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6.四十肩・五十肩

五十肩は通称であり、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれる疾患群です。肩関節周辺の組織が老化することによって、炎症が生じます。近年は40代で発症する人が増えたため、四十肩と呼ばれることもあります。
症状は、腕を身体の後ろに回したり腕を上げたりする際に痛みを感じます。<

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身体の痛みを感じたら医療機関で受診しよう

身体の痛みを感じても、「年だから仕方ない」と放置している方は多いでしょう。

しかし、身体の痛みが悪化すると日常生活に支障をきたします。また精神面にも悪影響を及ぼしたり、要介護や寝たきりの原因となったりする可能性もあります。

身体の痛みを感じたら、医療機関で受診して原因を特定しましょう。また医療機関で受診せずに、整体・マッサージなどに通うことはおすすめしません。なぜなら、これらのサービスは医療行為を行える法的な資格がないからです。

後述の通り、身体の痛みには病気が隠れている可能性があります。病院で診察を受けた上で整体やマッサージに通うことは問題ありませんが、まずは医療機関で痛みの原因を特定してもらうことが大切なのです。原因を特定することで、表面的ではなく根本的な治療ができます。

身体の痛みには病気が隠れていることも

身体の痛みには病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。痛みが強い場合や長期間続く場合は放置せず、必ず医師に相談しましょう。

例えば身近な症状である肩凝りには、高血圧や糖尿病、狭心症、心筋梗塞など命に関わる病気が隠れていることもあります。

また、腰痛についても次のような病気が隠れている可能性もあるのです。

  • 十二指腸潰瘍、胆石、胆嚢炎(たんのうえん)、膵臓炎(すいぞうえん)などの消化器に関する病気
  • 子宮がんや子宮内膜症などの産婦人科に関する病気
  • 心筋梗塞や解離性腹部大動脈瘤(かいりせいふくぶだいどうみゃくりゅう)など循環器に関する病気
  • 尿路結石、腎結石、腎盂腎炎(じんうじんえん)、前立腺がんなど泌尿器に関する病気

身体のさまざまな部位に痛みがあったり、痛み以外に症状があったりする場合は要注意です。

身体の痛みの原因は脳であることも…

最近の研究から慢性痛の原因が、脳に隠されている可能性があることもわかってきました。これは「側坐核」(そくざかく)と言われる前脳に存在する神経細胞の集まりが関係しています。(参考:痛みを“脳”で克服!“慢性痛”治療革命 - NHK ガッテン!

側坐核は痛みを感じるときに重要な役割を果たしていて、痛みの信号が脳に伝達されたとき、その痛みを緩和させる物質を放出する仕組みに関係しているのです。この側坐核の機能が低下していると痛みを抑える機能も低下し、身体の痛みを強く感じてしまいます。

側坐核の働きを回復させるには「達成感」が必要

前提として、身体の痛みを感じたらまずは医療機関で受診し、原因を特定することですが、その上で側坐核の働きを回復させる方法を試してみることもおすすめです。

側坐核の働きは「報酬」と深く関係があります。最も身近な報酬として「達成感」を感じることでも、側坐核はそれを報酬と捉えるのです。日常生活のなかに「達成感」を取り入れることで、側坐核の働きはアップします。

例えば、趣味のなかで小さな目標を設定して徐々に達成してみたり、生活の中に「目標設定」と「達成」を意識して取り入れてみたりと小さなことからでもよいのでチャレンジしてみましょう。

《具体例》
・趣味がゴルフの場合、打ちっぱなしで50球打つ
・ランニングが趣味の場合、1週間に1回2kmは走る
・1週間に1回はいつもの駅ではなく、1つ前の駅で降りて歩く
・普段運動をしない人なら、運動を取り入れてみる(筋トレ、ストレッチなど)

対症療法ではなく原因を特定して根本的な治療を

身体の痛みを感じても「年だから仕方ない」「仕事が忙しいから」などと放置してしまう方は少なくありません。しかし、身体の痛みには重大な病気が隠れていることがあります。

対症療法でしのぐのではなく、医療機関で原因を特定して根本的な治療を行いましょう。