ストレスは溜め込むと危険|ストレスコーピングを知り自分をケアする
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ストレスコーピングは、ストレスから心身を守るための技術です。ストレスを溜め込むと、うつ病など心の病気を始め、身体にも悪影響を及ぼします。

この記事では、ストレスコーピングについて詳しく解説します。また、具体例や実践方法についてもまとめたので、ぜひ参考にしてください。

ストレスコーピングとは

ストレスコーピングとはストレスにうまく対処する技術や能力、つまり「ストレス対処法」のことです。「コーピング」には「問題に対応する、切り抜ける」という意味があります。

ストレスコーピングを意識することでストレスにうまく対処できるようになり、心身の負担が減るため病気の予防にもつながります。

そもそもストレスとは?メカニズムを知ろう

ストレスは、「ストレッサー」「認知」「ストレス反応」という3つの要素からなり、一般的に言われている「ストレス」とは「ストレス反応」を指します。

ストレスとうまく付き合っていくためには、まず正しく理解する必要があります。ここでは、ストレスの構成要素やメカニズムについて見ていきます。

ストレッサー

ストレッサーとは、ストレスの元となるものです。

ストレッサーには暑さや寒さ、高所といった物理的なものや、環境や人間関係といった心理的なものがあります。

認知

自分自身がストレッサーを評価することを「認知」といいます。認知によってストレスが発生しますが、同じストレッサーでもそれをどのように捉えるかは人によって違います。

ストレス反応

認知したストレッサーを解消しようとする身体の防衛反応をストレス反応といいます。一般的に「ストレス」と言われているのは「ストレス反応」のことであり、ストレッサーに対する反応です。

ストレス反応は心理的・身体的・行動的の3つに分けられ、それぞれ以下のような反応が起こります。

  • 心理的反応:抑うつ・不安・怒り・焦り・イライラなど
  • 身体的反応:動悸・頭痛・腹痛・肩こり・睡眠障害など
  • 行動的反応:過食・アルコール依存・仕事上のミスなど

ストレスコーピングの種類

ストレスコーピングの方法は、以下の3つに大きく分けられます。それぞれの方法について、詳しく解説します。

問題焦点コーピング

問題焦点コーピングは、ストレッサーに直接アプローチする方法です。ストレッサーに働きかけて変化させることができる場合は、後述する情動焦点コーピングより問題焦点コーピングに取り組みましょう。

例えばAさんがストレッサーの場合、Aさんから離れたり、Aさんを遠ざけたりする方法が考えられます。しかし、職場であれば毎日顔を合わせなければならないため、ストレッサーによっては実践が難しい場合もあります。

また、プレッシャーのかかる仕事がストレッサーになっている場合、その状況を職場に相談して変えてもらうことが問題焦点コーピングです。プレッシャーの大きい仕事を減らしてもらう、もしくはなくしてもらうことで、ストレッサーがなくなり、ストレスを感じずに仕事に取り組めます。

情動焦点コーピング

情動焦点コーピングは、自分の感情(「認知」の部分)にアプローチする方法です。

ストレッサーに直接アプローチできる場合は問題焦点コーピングのほうが効果的ですが、難しい場合は情動焦点コーピングが採用されます。

Aさんがストレッサーの場合、ストレスを感じるAさんに対する自分の捉え方を変えます。具体的には、Aさんの言動の背景や事情を考えてみる、Aさんの良いところを探してみるなどです。

また先述の仕事のプレッシャーがストレッサーとなっている場合で考えるなら、「成長するために必要な仕事」「将来の昇進、昇格するための必要な仕事」と仕事に対する捉え方を変えることで、ストレス反応を前向きに捉えることができます。

ストレッサーに対してマイナスの感情を抱くのではなく、考え方を変えて前向きに捉える方法です。

ストレス解消型コーピング

ストレス解消コーピングとはストレスを感じた時ではなく、感じた後にストレスを解消してストレス反応が起こらないようにする方法です。

Aさんに対して感じたストレスを、カラオケや買い物、友人と出かける、おいしいものを食べるといった行動で解消します。私たちが普段行っている「ストレス発散」と同じ方法です。

一時的な気持ちのリフレッシュやストレス軽減効果はありますが、根本的なストレスの解決にはならないため注意が必要です。

コーピングを実践する上でのポイント

ここからは、より高い効果を得るためにコーピングを実践する上でのポイントについて解説します。

自分の現状や問題を客観的に把握する

コーピングの実践において、まずは自分の現状や問題を正しく把握する必要があります。しかし、多くのストレスを抱えている状態では頭の中がうまく整理できず、正常な判断が難しくなります。

そのため、家族や友人、同僚など周囲の人に自分が抱えているストレスについて相談し、話を聞いてもらいましょう。第三者からの意見は、自分の状況を客観的に把握することに役立ちます。ストレスによって精神的に不安定な場合は医療機関を受診したり、専門のカウンセラーに相談したりすることも現状を把握するための方法の一つです。

思ったことや自分の感情をありのまま紙に書き出す「エクスプレッシブライティング」も効果的です。紙に書き出すことで気持ちが整理されることに加え、客観的に自分を見直せます。

自分で問題を解決する意識を持つ

ストレスを溜め込んでしまうことを解決しようとしても、主体性がなくただ漠然と考えているだけでは問題を解決することはできません。

場合によっては環境の変化でストレッサーがなくなることもあるかもしれませんが、受動的な姿勢では問題が解決するまでに時間がかかります。何もせずに放置しているとストレスはどんどん大きくなってしまうかもしれません。ストレスに対して素直に向き合い「自分で問題を解決する」という意識を持つことが大切です。

さまざまなコーピングを試して効果を観察する

自分が知っている、または実践可能なコーピングの種類は多ければ多いほど、ストレスに対処しやすくなります。

コーピングを試す際は「コーピングがストレスに対してどのくらい効果があったか」ということを自身で観察しましょう。さまざまなコーピングを試しながら効果に対する評価を繰り返すことで、コーピングのスキルは徐々に上がっていきます。

自身に合ったコーピングスタイルを判定する

先述の通り、ストレスコーピングにはいくつかの種類があります。人や状況により適切なコーピングは変わってくるのです。それを確かめるための判定テストがあるので、ぜひ試してみましょう。あなたの性格に合わせたコーピング方法、またストレスの特徴に合わせたコーピング方法を知ることができます。

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ストレスとうまく付き合って心身の健康を守ろう

ストレスは、心身を守るための自然な反応です。ストレスを感じること自体は決して悪いことではなく、うまく付き合っていくことが大切です。ストレスコーピングを習得して、心身の健康を守りましょう。