一度食べたら止まらない人は要注意|摂食障害の症状と治し方とは
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メンタルの不調によって摂食障害になる若者は少なくありません。摂食障害を治すためには、心と身体の両面からケアする必要があります。この記事では摂食障害の概要や原因、予防法について解説します。

摂食障害とは?

摂食障害は、食事に対する行動や体重・体型の捉え方が異常になる病気です。いくつかの種類に分類されますが、食事をきっかけに心身の影響が出る病気をまとめて摂食障害と呼びます。摂食障害は10〜20代の女性がかかるケースがほとんどですが、年齢や性別に関わらず誰でも発症する可能性があります。

国内で摂食障害になって受診する人は、年間約21万人です。潜在的な摂食障害を含めると、患者数はもっと多いでしょう。

摂食障害の分類

摂食障害は、「神経性過食症」と「神経性食欲不振症」に大きく分けられます。ここでは、それぞれの症状について説明します。

神経性過食症の症状と原因

神経性過食症は食事のコントロールが効かず、食べ過ぎてしまう病気です。神経性過食症患者の約90%は20代の女性といわれており、食べ過ぎた後で罪悪感を抱いて嘔吐を繰り返します。職場や学校の人間関係からくるストレス、あるいは就職・受験に対するプレッシャーが原因で過食症となる場合があります。

過食と嘔吐は知られにくいため、周囲の人はなかなか気付きません。日常的に過食・嘔吐を繰り返していると、本人も次第に病気だと思わなくなります。神経性過食症が進行すると、うつの症状や不安感が強まり、身体も傷ついていきます。過食症は健康な人の「やけ食い」と明確に区別しにくいため、発覚しにくい病気といえるでしょう。

神経性食欲不振症の症状と原因

神経性食欲不振症は「拒食症」と呼ばれることもあり、名前のとおり食べることを拒む病気です。拒食症患者の約90%は10代の女性で、体重の増加に対して不安や恐怖を感じ、やせ体型へのこだわりが非常に強いのが特徴です。

拒食症は周りの人に自分の体型を指摘されたり、やせたと褒められたりするなど、ささいなきっかけが原因となることが多いです。また過度なダイエットにより発症する可能性もあります。その結果、やせているのに太っていると錯覚し、少しでも体重が増えると不安を覚えてしまうのです。拒食症も過食症と同様に、本人には自覚がなく、治療に無関心であるケースが目立ちます。

このように、摂食障害が長く続くと心身ともにボロボロとなり、最悪の場合は死に至るケースもあります。摂食障害がうつ病などの精神疾患につながることも多いので、早期に発見して治療を受けることが大切です。

摂食障害になりやすい人の特徴

摂食障害の原因は明らかになっていませんが、ストレスが主な要因と考えられています。ここでは、摂食障害になりやすい人の特徴を見ていきます。

ストレス解消が苦手な人

ストレスをうまく解消できない人は、摂食障害になりやすいといえます。同じ環境でも、ストレスの感じ方は人それぞれです。他の人よりもストレスを感じやすい人は、自分に合った解消法を見つける必要があります。

完璧主義な人

完璧主義の人は、「〜しなければいけない」「〜するべきだ」と強く考える傾向があります。自分自身を追い込んでしまい、それが大きなストレスになります。ダイエットで例えると、「ダイエットをするからには、必ずやせなければならない」と考え、過度な減量を行う恐れがあるので注意が必要です。

自分に自信を持てない人

自分に自信を持てない人は、体型や体重へのコンプレックスが摂食障害につながることがあります。また、相手に悪く思われないように周囲に気を遣っている人も同様で、そのストレスを解消するために過食・拒食に走ることがあります。

摂食障害の予防・治療法

摂食障害の改善には身体的、精神的双方からのアプローチが必要です。身体的アプローチでは正しい食事の習慣を身に付け、適切な体重管理を行います。精神的アプローチでは摂食障害の説明やカウンセリングの他、場合によっては薬物療法による情動面の沈静化も行います。

治療には、家族やパートナーのサポートも必要です。ありのままの自分を認められる環境を整えて、回復に向かうようにサポートしてあげましょう。食事習慣の改善や摂食障害への理解は、治療だけでなく予防にも有効です。

チェックリストで摂食障害かどうか確認してみよう!

「最近食べ過ぎているから、摂食障害じゃないかと不安」という人もいるのではないでしょうか。チェックリストで確認してみましょう。

□体重・体型への関心が高い
□太るのが恐い
□食事の量を減らすことがある
□コントロールできず、一度にたくさん食べてしまうことがある
□たくさん食べた後で吐いたり、食事を抜いたりしている
□やせている
□周りからやせているといわれるが、自分ではそう思わない
□カロリーや体重のことで頭がいっぱいになる
□生理がこない、または不順になった
□手足が冷えやすい

当てはまる項目が多いほど摂食障害である可能性が高いので、早めに受診することをおすすめします。

摂食障害の人に対してまわりの人ができること

摂食障害は本人が自覚しているケースは少ないため、まわりの人のサポートが大切です。摂食障害だと気づいたら今の悩みを聞いてあげる、一緒に病院に行ってあげるなど、その人に寄り添った対応をしてあげましょう。

摂食障害の人はストレスを感じやすい性格の方が多いので、過食・拒食に対して怒るのではなく、根本的な不安を減らせるようなサポートを行いましょう。今後どうやって改善していくのかを一緒に考えることで、本人にとっても心の支えになります。

摂食障害の症状を理解して予防・治療に努めよう

摂食障害の原因は明らかになっていませんが、ストレスが大きく関わっていると考えられています。摂食障害の人は、自分が病気であると自覚していないケースが少なくありません。まずは摂食障害の症状を正しく理解した上で身体的、精神的双方からアプローチを行い、予防・治療に努めましょう。