仕事に行きたくない、部署異動によるストレスが増えた…よくいわれる5月病の症状と原因とは
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仕事や環境の変化によって無気力になってしまう「5月病」は、放っておくとさらに悪化するおそれがあります。この記事では5月病の症状や原因、予防法などについて解説します。

5月病とは

5月病は正式な病名ではありません。その時期に起こりやすいことから5月病と呼ばれており、「適応障害」や「うつ病」と診断されることもあります。「チューリッヒ生命」が実施した全国1,000人のビジネスパーソンのストレス調査によると、5月病になったことがある人は男性が21.6%、女性が25.0%という結果でした。

「5月病だと思っていたら、実はうつ病だった」ということもあるので、心身の不調を感じたら必ず受診してください。症状が軽くても油断せず、少しでも「おかしい」と思ったら早めに医療機関の診察を受けましょう。ここでは、5月病の具体的な症状や原因について説明します。

5月病の主な症状

5月病の主な症状は、以下のとおりです。

・身体がだるい
・疲れやすい
・意欲がない
・よく眠れない
・食欲がない
・気分が落ち込む
・不安や焦りを感じる など

症状の多くは一過性で休息を取れば改善します。しかし症状が長引く場合は仕事に支障をきたすだけでなく、精神疾患にかかってしまう可能性もあるでしょう。その場合は、早めに受診することをおすすめします。5月病から罹患しやすい精神疾患は以下のとおりです。

・うつ病
・適応障害
・パーソナリティー障害
・パニック障害
・不眠症

発症の原因はストレスが多い

5月病の主な原因は、ストレスや疲労の蓄積です。5月病は、就職・転職・転勤などをしたばかりの人が発症しやすい病気です。新年度が始まる4月は、一気に環境が変化することがあります。慣れない環境の中で気付かないうちにストレスや疲労が溜まると、5月病を発症することがあります。

こんな人は5月病に注意!

5月病は、誰でも発症する可能性があります。中でも、以下のような人は注意してください。

・新しい環境にうまく馴染めない
・新しい人間関係をうまく作れない
・新しい仕事を任されて責任が増えた
・大きな目標を達成して燃え尽きてしまった
・生活のリズムが乱れた

このように環境が変化した人だけでなく、燃え尽き症候群になりやすい人も5月病を発症しやすいといえます。5月病からうつ病へと移行しやすい人の特徴は、以下のとおりです。

・几帳面で真面目
・責任感が強く、仕事を1人で抱え込んでしまう
・完璧主義

このような特徴がある人はストレスを溜め込みやすい傾向にあるので、なるべく周囲の人に協力してもらうようにしましょう。

5月病の予防法

5月病を予防するためには、ストレスを溜め込まないことが一番です。ここでは、5月病の具体的な予防法について説明します。

趣味を楽しむ

自分が今まで行っていた、あるいは新しくはじめた趣味に打ち込みましょう。映画鑑賞や料理、スポーツなど、自分が楽しめることなら何でも構いません。時間を気にせず打ち込めるくらい好きなことをしていると、幸福を感じる脳内物質である「セロトニン」の分泌が活発になります。セロトニンはストレスを発散する効果があるので、休日や仕事が終わった後などに、趣味の時間を持つことをおすすめします。

適度な運動を行う

適度な運動を行うと、ストレスの発散が期待できます。また、運動には以下のような効果もあります。

・気分転換
・心身のリラックス
・睡眠リズムの改善

ランニングやウォーキング、サイクリングといった有酸素運動は、特にストレス発散効果が高いといわれています。だるさが取れない人は、身体を動かしてみましょう。心地よい疲れを感じ、気持ちがスッキリします。

生活リズムを整える

休日でも起床時間と就寝時間は変えず、生活のリズムを崩さないようにしましょう。生活が不規則になると心身の不調につながり、5月病を発症しやすくなります。また、夜中のスマートフォンの操作によるブルーライトやテレビによって睡眠の質が悪くなり、生活リズムが崩れることもあります。質の高い睡眠を確保できるように、寝る前はスマートフォンやテレビを見ず、照明を暗くすることをおすすめします。

相談相手を見つける

相談相手を持つことも、5月病の予防に有効です。環境が変わってストレスが溜まっているのは、あなただけではありません。職場の中には同じ境遇の人がいるはずなので、お互いの悩みを共有してストレスを発散しましょう。慣れない環境でも、相談相手がいるだけで心の支えになります。

5月病の人に対して気をつける点

5月病の人に対して「もっと元気にいこう」や「調子が悪いだけだよ」といった、安直な励ましは控えましょう。疎外感を与えてしまい、さらに悪化してしまう危険性もあります。職場でも5月病のような症状がある人が無理をしていれば、休暇を促してあげるのも1つの手段です。

また普段のコミュニケーションで「なんだかいつもと様子が違う」と感じれば、積極的に声をかける、あるいは相談に乗るなどの対応をしてあげましょう。5月病のケアは本人の力だけでなく、周囲の人たちの協力があるとより効果的です。

自分は5月病?チェックリストで確認してみよう!

5月病の症状や原因について説明しましたが、「もしかしたら自分も5月病かも」と思った人もいるのではないでしょうか。5月病のチェックリストで確認してみましょう。

□いつもイライラしている
□人と話すのが面倒に感じる
□朝起きると疲れを感じてぐったりする
□集中力がなく、仕事が思うように進まない
□いつもの通勤電車が苦痛に感じる
□身だしなみを気にしなくなった
□ケアレスミスが多くなった
□以前より疲れやすくなった
□他人が自分のことを軽視しているように思える
□自分の好きなことでもやる気が出ない

6つ以上当てはまった人は、5月病の疑いがあります。5月病が長引くと症状が悪化することもあるので、不安な人は早めに受診することをおすすめします。

引用:産業医トータルサポート

ストレスを溜め込まないようにして5月病を予防しよう

新年度は環境が大きく変わることが多く、慣れない環境の中でストレスや疲労を溜めやすい時期といえます。自覚がないままストレスが溜まると5月病になり、やがてうつ病になることがあります。5月病にならないためにも、日頃から心身の状態を確認しつつ、自分に合う予防法を実践しましょう。