発作がおきたらどうする?発作への対処法とてんかんの症状を理解する
(画像=chaichanpramjit/EyeEm/stock.adobe.com)

てんかんとは

てんかんは、突然意識を失うてんかん発作を繰り返し起こす脳の病気です。てんかんは年齢や性別に関係なく、乳幼児から高齢者まで発症する可能性があります。患者数は約100人に1人といわれており、決して珍しい病気ではありません。

てんかん患者の60~70%は、抗てんかん薬を服用することで発作を抑えて通常の社会生活を送れますが、抗てんかん薬では発作を抑えられない「難治性てんかん」もあります。難治性てんかんの場合は、数種類の抗てんかん薬の服用や外科治療といった、より専門性の高い治療が必要です。

てんかんの症状

てんかん発作の症状は、脳のどの部位に異常が起こるかによって変わります。手足をガクガクと曲げ伸ばしする「けいれん」や意識の消失、突然身体の力が抜けて倒れる、手足が突っ張って身体が硬直するといった症状があります。

発作時に周囲の人が注意すべきこと

目の前で突然発作が起こると周囲の人は慌ててしまうと思いますが、以下のことに注意して、落ち着いて行動することが大切です。

・発作は数分~数十分で治まるため、基本的には何もせず見守る
・道路や階段など危険な場所にいる場合は、安全な場所に移動させる
・長時間発作が治まらない場合は病院に連れていく
・発作の最中は名前を呼んだり、身体を揺さぶったりしない
・発作中に嘔吐した場合は、嘔吐物が器官に詰まらないように顔を横に向ける

てんかんが発症する原因

てんかんは脳の神経細胞(ニューロン)に異常が生じ、突然激しい電気的な興奮が生じることで起こります。

てんかんは、原因によって「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分けられます。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

特発性てんかん

特発性てんかんはMRIなどの画像検査を行っても異常が見つからない、原因不明のてんかんです。

生まれつき発症しやすい傾向を持っていると考えられていて、発症のメカニズムはまだ解明されていません。

特発性てんかんは原因不明ではありますが、比較的抗てんかん薬の内服によって発作をコントロールしやすい特徴があります。

一般的にてんかんは遺伝しないといわれていますが、特発性てんかんについては「てんかんを発症しやすい傾向」が遺伝する可能性も指摘されています。

症候性てんかん

症候性てんかんは脳に何らかの障害や脳の一部が傷ついたことが原因で起こるてんかんです。

小児の場合は先天性奇形や、低酸素脳症など出生時のトラブル、成人の場合は頭部障害や脳卒中、脳腫瘍、アルツハイマー病などが原因で発症します。

てんかんを発症しやすい人に特徴はある?

てんかんは脳の慢性的な病気であり、発症年齢も乳幼児から高齢者までさまざまです。性別も関係ないため、てんかんを発症しやすい人の特徴はないといえるでしょう。

しかし、発作を繰り返すと脳に影響を及ぼすことがあるため、てんかん患者には以下のような性格的特徴が見られることもあります。ただし、近年は早期に治療を開始するようになったため、てんかんが性格にまで影響を及ぼすケースはほとんど見られなくなりました。

・粘着性が高い
・こだわりが強い
・回りくどい話し方をする

てんかんは予防できないが発作は防げる

てんかんは脳の障害などが原因で起こるため、予防することができません。
しかし、てんかん発作は日常生活のなかである程度予防できます。

十分な睡眠と規則正しい生活

睡眠不足が、てんかん発作を引き起こすこともあります。成人は6~8時間以上、子どもは8~10時間以上の睡眠を取ることを心がけましょう。睡眠不足が続いた場合は翌日にしっかり眠るようにしてください。

昼間は活発に頭や身体を動かし、夜はよく眠るという生活が理想です。発作をコントロールするためにも、夜間の仕事はできるだけ控えたほうがよいでしょう。

抗てんかん薬の正しい服用法

てんかんの治療においては、抗てんかん薬の服用が最も大切です。毎日正しい量を服用することによって、発作を抑制できます。

「最近は発作が出ていないから」といって、自分の判断で服用を中断しないようにしましょう。また、飲み忘れにも注意してください。

薬を飲んだ直後に嘔吐した場合は、まだ吸収されていないため再度服用しましょう。

アルコールを控える

アルコールは発作を引き起こしやすいことがわかっているため、飲酒はできるだけ避けてください。仕事上の付き合いなどでどうしても飲まなければならない場合は口をつけるだけにして、その場の雰囲気を楽しみましょう。

なお、カフェインや香辛料については特に控える必要はありません。

予防接種を受ける際は主治医に相談する

予防接種の種類によっては、てんかんや発作に影響を与えるものもあります。接種する前に、必ず主治医に相談しましょう。

てんかんのセルフチェック

てんかんのセルフチェックを行いましょう。
以下のような症状を繰り返す場合はてんかんが疑われるため、早めに受診してください。

・意識を失って全身が硬直し、ガクガクと震えるような発作を起こしたことがある
・身体の片側の一部にまひやしびれを感じることがある
・急に身体の力がガクッと抜けて倒れたことがある
・意識はあるものの、身体の一部のけいれんが数秒から十数秒続くことがある
・発熱によって起こるひきつけがある
・突然意識がなくなり、ボーっとした状態が数秒から十数秒続くことがある
・目の前のものの大きさが変わって見えたり、遠近感がわからなくなったりすることがある
・突然全身がピクンとした後、一瞬力が抜けることがある
・テレビやゲームなど、チカチカした光の刺激でひきつけを起こしたことがある
・脳卒中をわずらった後、けいれん発作を起こしたことがある
・眼や顔が片側に強く引っ張られることがある

「もしかしたら、てんかんかもしれない」と思えるような発作がある場合は、スマートフォンで様子を録画しておきましょう。受診の際に医師に見せると、診断に役立ちます。

まずはてんかんを正しく理解することから始めよう

「てんかんは不治の病」と思っている人もいるかもしれませんが、早期に適切な治療を受けて抗てんかん薬を服用すれば、発作を抑えることができます。てんかん患者の中には、通常の社会生活を送っている人もたくさんいます。

まずは、てんかんについて正しく理解することから始めましょう。