脂質異常症の原因となるのは食生活|予防や改善で押さえるべきポイントとは
(画像=hanack/stock.adobe.com)

生活習慣病の一つである脂質異常症は、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことがあります。予防や改善には、食生活を見直すことが大切です。脂質異常症とはどういったもので、リスクを下げるためには食生活をどのように改善すればよいのでしょうか。

脂質異常症とは

血液中の脂質が基準値から外れた状態を脂質異常症といいます。脂質異常症の診断基準となるのは、中性脂肪(トリグリセライド)、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)の3つです。

中性脂肪は私たちの重要なエネルギー源ですが、摂り過ぎると体脂肪として蓄積され、肥満を招きます。LDLコレステロールには肝臓のコレステロールを体全体に運ぶ役割があり、コレステロールが過剰になって酸化すると、動脈硬化が進行します。一方でHDLコレステロールは、体内の血管壁に溜まった余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割を担っており、動脈硬化の進行を抑制する働きがあります。

つまり脂質異常症とは、体内の中性脂肪が過剰になったり、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランスが崩れたりする状態を指します。

脂質異常症を放っておくとどうなるか

脂質異常症を放置すると血管の柔軟性が徐々に失われ、動脈硬化につながります。動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞といった血管系の病気のリスクが高まります。

脂質異常症は自覚症状がないケースが多いため、知らぬ間に脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まっているのが、脂質異常症の怖いところです。

脂質異常症の主な原因は食生活の乱れ

脂質異常症の主な原因は、高カロリーや高脂質といった食生活の乱れです。日本は食の欧米化が進み、肉食が中心になっています。肉食は高カロリー・高脂質であり、脂質異常症を招きやすい食事といえます。以下のチェックリストを使って、自分の食生活を振り返ってみましょう。

【食生活の乱れチェックリスト】

□魚よりも肉が好きだ
□外食することが多い
□揚げ物が好きだ
□普段野菜を食べることが少ない
□牛丼・かつ丼などの丼料理やラーメン・うどんなどの麺料理が好きだ
□お酒を毎日欠かさず飲んでいる
□甘いものに目がない
□甘い飲み物をよく飲む

ひとつでも当てはまった方は、食生活が乱れやすい、もしくは乱れている傾向にあります。症状が現れることが少ない脂質異常症だからこそ、普段の食事で予防・改善を行う必要があります。また、食事の見直しと合わせて、生活に運動を取り入れることで脂質異常症のリスクを軽減することができます。

脂質異常症の予防や改善には食生活を見直すことが重要

脂質異常症を予防・改善するには、まず食生活を見直すことが大切です。そこで、控えたほうがよい食品や、摂るべき食品を見ていきましょう。

【控えたほうがよい食品】

  • 油の多い肉(バラ肉やひき肉、皮など)
  • レバーなどの臓物
  • 牛乳やチーズなどの乳製品
  • 卵黄
  • 魚卵
  • お菓子(特に洋菓子)
  • アルコール
  • ジュース
  • 甘いコーヒーや紅茶

【摂るべき食品】

  • 青魚 (サバやイワシなど)
  • 豆製品 (納豆や豆腐など)
  • 芋類 (さつまいもやこんにゃくなど)
  • 根野菜 (ごぼうやレンコンなど)
  • 葉野菜 (キャベツやレタスなど)
  • きのこ類 (しいたけやしめじなど)
  • 海藻類 (わかめやひじきなど)

以上の食品がなぜ控えるべき、摂るべきなのかを詳しく解説していきます。

肉類を減らした食事を心がける

肉類には、脂質異常症の原因となる飽和脂肪酸やコレステロールが多く含まれているため、なるべく避けることをおすすめします。特に脂身の多いバラ肉やひき肉、レバーなどの臓物、鶏皮の食べ過ぎには注意しましょう。また、牛乳などの乳製品や卵黄、魚卵にも多くの飽和脂肪酸が含まれているため、避けたほうがよいでしょう。

肉類の代わりに青魚などの魚を選ぶと、普段不足しがちなEPA・DHA(n-3系多価不飽和脂肪酸※)を摂れるのでおすすめです。牛乳をよく飲む方は、低脂肪乳や豆乳などに代えるとよいでしょう。

※n-3系多価不飽和脂肪酸:必須脂肪酸と呼ばれる。体内で作ることができないため、食事から摂取する必要がある。動脈硬化や血栓を予防したり、血圧を低下させたり、LDLコレステロールを減らしたりする働きがある。

コレステロール値の低い食品を選ぶ

食事に含まれるコレステロールも、脂質異常症の原因となるLDLコレステロールを増やします。コレステロールは卵やレバー、魚卵、マヨネーズなどに多く含まれています。卵を使ったお菓子やケーキなども注意が必要です。これらの食材は、食べる頻度や量を調整することをおすすめします。

油ものはなるべく控える

ラードやバターといった動物性の油には、脂質異常症の原因となる飽和脂肪酸が多く含まれているため、食べる頻度や量に注意しましょう。オリーブオイルなどの植物油は飽和脂肪酸を含みませんが、カロリーは高いため1日に大さじ1杯を目安にして、摂り過ぎないようにしましょう。

油をなるべく使わないようにテフロン加工のフライパンに替えたり、蒸す・茹でるといった調理方法を選んだりするのもおすすめです。

食物繊維を毎食摂ることを心がける

LDLコレステロールを下げるために、食物繊維を積極的に摂りましょう。食物繊維は、納豆やおからなどの豆類、さつまいもや里芋、こんにゃくなどの芋類、ごぼうやレンコン、キャベツなどの野菜、しいたけやしめじ、えのきなどのきのこ類、わかめやひじきなどの海藻類に豊富に含まれています。毎食どれか一つでも、食物繊維が多い食品を取り入れるようにしましょう。

過度なアルコール摂取は禁物

過度なアルコール摂取は、中性脂肪を増やします。お酒を飲む場合は適量を心がけ、一日に日本酒であれば1合、ビールなら400ml程度、ワインなら200ml程度にとどめましょう。

甘いものは控えめにする(お菓子やジュースなど)

お菓子やジュースなどの甘いものには、糖質がたっぷり含まれています。糖質を過剰に摂取すると中性脂肪が増えて、脂質異常症を招きます。お菓子の代わりに、食物繊維を含むフルーツや蒸したさつまいもなどを食べるとよいでしょう。水分補給はジュースではなく、水やお茶、ハーブティーなどがおすすめです。

食生活を見直して脂質異常症を防ごう

脂質異常症は自覚症状がないケースが多いため、知らぬ間に動脈硬化が進行していることがあります。脂質異常症の予防・改善には、日々の食生活を見直すことが非常に大切です。脂身の多い肉や脂っこい料理、甘いお菓子やジュースはなるべく控えて、食物繊維の多い野菜や海藻類などを積極的に摂るよう心がけて、脂質異常症を予防・改善しましょう。