長年の食生活の乱れが生活習慣病につながる|健康的な身体を作る食事の秘訣とは
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食生活の乱れは、生活習慣病の主な原因です。過食や偏った食事は、肥満や高血圧、糖尿病など、さまざまな病気を引き起こします。

この記事では食生活と生活習慣病の関係を踏まえて、健康な身体を作るための食事について解説します。

乱れた食生活が続くと生活習慣病になるリスクが高まる

食事は、生活習慣のなかで最も健康に影響を与える要素です。乱れた食生活が続くと、生活習慣病のリスクが高まります。

令和3年版厚生労働白書によると、日本でのリスク要因別死亡者数において「塩分の高摂取」は第5位、「アルコール摂取」は第6位であり、それぞれで年間約3万人以上が亡くなっています。

食生活の乱れはなぜ健康に悪い影響を与えるのか

味が濃く、脂っこいラーメンやジャンクフードなどには、塩分や脂質が多く含まれています。これらを頻繁に食べていると、高血圧や脂質異常症の原因となります。

また、甘いものや高カロリーな食事、早食いは血糖値の上昇や肥満を招きます。

高血圧や肥満は動脈硬化を促進するため、結果的に脳卒中や心臓病といった命に関わる病気になるリスクも高まるのです。

具体的にどんな生活習慣病になるのか

食生活の乱れは、どのような生活習慣病を引き起こすのでしょうか。

がん

塩分やアルコールの過剰摂取は、食道がんや胃がんの原因になることがわかっています。また、野菜や果物をあまり食べない人は、がんにかかるリスクが高いという報告もあります。

心臓病

悪玉コレステロールの増加や高血圧、メタボリック・シンドローム(メタボ)は、心臓病の危険因子です。これらは食生活の乱れと関係が深く、動脈硬化を進行させて狭心症や心筋梗塞を引き起こします。特に塩分やアルコール、脂肪分などの摂りすぎは、心臓病のリスクを高めます。

脳卒中

脳卒中の危険因子は高血圧です。塩分の過剰摂取といった食生活の乱れによって高血圧になると、結果的に脳卒中のリスクも高まります。また、アルコールの過剰摂取も脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のリスクを高めることがわかっています。

脳卒中と食生活の関係については、以下の記事でより詳しく説明しています。本記事とあわせて読むことで、脳卒中と食生活についての理解が深まります。

※記事「【突然倒れる前に食事を見直す】塩分・脂質のとりすぎは脳卒中へのリスクになる」のリンクを掲載する

糖尿病

食べ過ぎや早食い、糖分の摂りすぎなどは糖尿病の原因になります。これらは食後の血糖値を急上昇させるため、体内でインスリンが大量に分泌されます。このような状況が続くとインスリンが効きにくくなり、糖尿病を引き起こすのです。

糖尿病と食生活の関係については、以下の記事でより詳しく説明しています。本記事と併せて読むことで、糖尿病と食生活についての理解が深まります。

※記事「自分の血糖値を知っていますか? 40代から急速に増加する糖尿病患者【まずは食事から見直そう】」のリンクを掲載する

高血圧症

高血圧症の主な原因は、食生活の乱れです。特に塩分の摂りすぎは、血圧を上昇させます。また肥満も高血圧症のリスクを高めるため、脂質やカロリーが高い食べ物を避けることが大切です。

高血圧症と食生活の関係については、以下の記事でより詳しく説明しています。本記事と併せて読むことで、高血圧症と食生活についての理解が深まります。

※記事「【好きなものだけを食べ続けるのは危険】無計画な食生活が高血圧につながる理由とは」のリンクを掲載する

肥満・メタボ

乱れた食生活によって引き起こされる生活習慣病として、最もイメージしやすいのは肥満やメタボでしょう。食べ過ぎや偏った食事によって肥満やメタボになると、高血圧や糖尿病、脳卒中など、さまざまな生活習慣病のリスクが高くなります。

アルコールの摂りすぎも、肥満やメタボの原因の一つであることがわかっています。

脂質異常症

脂質異常症とは、脂質の代謝に異常をきたすために、血液中の脂質濃度が基準値から外れてしまう病気です。動脈硬化を促進することで、脳卒中や心臓病のリスクを高めます。

中性脂肪の高値は甘いものや脂っこいものの摂りすぎ、悪玉コレステロールの高値は肉の脂身やバターなど飽和脂肪酸の摂りすぎが主な原因です。

自分の状態を理解する|生活習慣病のリスクをチェック

食生活や生活習慣病を効率的に見直すためには、まず現在の自分の状態を把握することが大切です。以下のチェックリストで、生活習慣病のリスクを確認してみましょう。

あなたは大丈夫?生活習慣病のリスクをチェック!(出典:一般社団法人 日本生活習慣病予防協会)

各項目で「あてはまる」の数が下記に該当する場合は、生活習慣病のリスクが「要注意」と判定されます。

  • 「生活」:5個以上あてはまる
  • 「食事」:5個以上あてはまる
  • 「運動」:3個以上あてはまる

3項目のうち2項目以上で「要注意」であると、生活習慣病のリスクが高い状態です。食生活の見直しや運動の機会の増加といった、生活習慣の改善をおすすめします。また、年に1回は必ず健康診断を受けましょう。

生活習慣病のリスクを下げる食事とは

ここからは、生活習慣病のリスクを下げる食事について解説します。

塩分の量を控える

塩分の摂り過ぎは高血圧の原因となるため、減塩を心がけましょう。

野菜や果物を積極的に食べる

野菜や果物は、ビタミンや食物繊維を豊富に含みます。また、血圧を下げる働きがあるカリウムも多く含まれているため、積極的に食べましょう。ただし果物は糖分が多いため、食べ過ぎに気を付けてください。

脂質の摂り過ぎに注意する

脂質の摂り過ぎは肥満や脂質異常症の原因となるため、十分注意してください。

栄養バランスを意識する

食事が偏ると、身体に必要な栄養素が不足します。穀物や肉、魚、野菜、乳製品、豆類など、さまざまな食品をバランスよく摂ってください。

毎食、主菜と副菜、主菜を組み合わせるように意識するとよいでしょう。例えば、主食のごはんに副菜として、きんぴらごぼうや煮物、野菜のおひたし、主菜を焼き魚や肉、納豆にするなどです。外食の際は、副菜の小鉢がついている定食を選ぶと栄養バランスが良くなります。

早食いは避けて食事をゆっくり楽しむ

早食いは食べ過ぎや肥満の原因となるだけでなく、食後の血糖値上昇も招きます。食べ物をよく噛むと満腹感が得られるため、食べ過ぎを防げます。

お酒はほどほどにして飲み過ぎない

アルコールの過剰摂取や飲酒の習慣化は、高血圧や脳卒中の原因となります。お酒はほどほどにして、飲み過ぎないようにしましょう。1日の飲酒量はビール中瓶1本程度(500ml)を目安に抑えることが健康維持には大切です。

健康的な食事で生活習慣病を予防する

過食や早食い、偏った食事といった食生活の乱れは、生活習慣病の最大の原因です。これらはさまざまな病気を引き起こす危険因子ですが、毎日のちょっとした工夫で改善できる部分でもあります。

食生活を見直し、バランスの良い健康的な食事を摂って生活習慣病を予防しましょう。