
脳卒中には、脳梗塞と脳出血、くも膜下出血の3種類があります。厚生労働省が発表した2020年の人口動態統計月報年計(概数)の概況 によると、脳卒中は日本における死因の第4位であり、年間10万人以上が亡くなっている病気です。
運動不足が続くと、脳卒中を引き起こしやすくなることがわかっています。運動不足による肥満や高血圧が、脳卒中の原因となるためです。
この記事では、運動不足と脳卒中の関係について紐解きます。脳卒中は運動を習慣化することで予防できるため、具体的な運動の方法なども紹介します。
運動不足で脳卒中になる人は多い
運動不足は、脳卒中のリスク因子の一つです。運動不足によって肥満やメタボ、高血圧になり、それが原因で脳卒中を発症する人も少なくありません。
「運動不足と肥満」「肥満と高血圧」「高血圧と脳卒中」はそれぞれ密接に関わっているため、運動不足が脳卒中を引き起こす原因となるのです。
脳卒中とはどのような病気なのか
脳卒中は、脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、血管から出血したりする(脳出血・くも膜下出血)ことによって脳細胞が障害される疾患です。脳卒中のリスク因子には、前述のとおり高血圧や動脈硬化、肥満、糖尿病などがあります。
脳卒中は命に関わる病気で、ある日突然倒れてしまうこともあります。一命を取りとめたとしても、脳の障害によって半身不随や認知症などの後遺症が残るケースも少なくありません。
運動不足が続くと脳卒中になる理由
脳卒中の主な原因は高血圧です。血圧が高い状態が続くことで動脈硬化が進みます。動脈硬化は血栓や血管の損傷を引き起こすため、脳梗塞や脳出血が起こりやすくなるのです。
運動不足は肥満を招き、内臓脂肪が蓄積されることで高血圧の原因になります。また高血圧は食生活の影響も大きく、特に塩分やアルコールの摂りすぎは血圧の上昇につながります。
肥満が高血圧症につながる理由
肥満と高血圧には深い関係があります。過食による塩分・アルコールの過剰摂取に加え、内臓脂肪が血管を圧迫して高血圧を引き起こすのです。
さらに、肥満は高血糖や悪玉コレステロールの増加によって動脈硬化を促進するため、脳卒中のリスクも高めます。
肥満の人は、肥満でない人に比べて2〜3倍、高血圧になりやすいことがわかっています。
脳卒中にならないために日常に取り入れるべき運動とは
脳卒中はある日突然倒れることもある、危険な病気です。
脳卒中を予防して健康に過ごすために、日常に取り入れるべき運動について解説します。
脳卒中は運動を習慣化することで予防できる
アメリカ心臓学会(AHA)は、運動の習慣化によって脳卒中の発症リスクが下がると報告しています。中程度もしくは強度の運動を週に4日以上行っている人に比べて、運動不足の人は脳卒中を発症する割合が20%も高いといいます。
脳卒中の最大の危険因子は高血圧です。適度な運動は血流を改善するだけでなく、血糖値や中性脂肪も下げ、血圧を下げる効果があります。また内臓脂肪を燃やすことで、動脈硬化の原因となる糖尿病の発症リスクも下がります。
汗をかく程度の運動を週に3日以上行おう
具体的な運動の内容は、以下のとおりです。
- 有酸素運動など汗をかく程度の運動を1回20分以上、週に3回以上行う(運動の合計時間は、1週間に150分以上が理想)
- 上記に加えて、週に2日は筋トレを取り入れるとより効果的
「汗をかく程度の運動」とはジョギングや自転車、エアロビクス、水泳などです。またプールの中を歩く水中ウォーキングは、有酸素運動と筋トレの効果を同時に得られるためおすすめです。
一方、重量挙げのような高強度の筋トレは血圧を急激に上げるため、高血圧の人は避けてください。
無理のない範囲で継続し、習慣化することが大切
脳卒中の予防には、運動を継続することが何より大切です。
上記の通り、汗をかく程度の運動を1回20分以上、週に3回以上行うのが理想的です。しかし、「仕事が忙しくて時間が取れない」「運動に慣れていない」といった理由で取り組むことが難しい人もいるでしょう。
そのような場合は、以下のように普段から身体を動かすことを意識してください。
- エスカレーターやエレベーターではなく階段を使う
- 通勤や買い物などでいつもより多く歩くことを意識する
- 休憩時間や家事の合間にストレッチをする
運動を習慣化して脳卒中を予防しよう
脳卒中は危険な病気ですが、運動を継続的に行うことで予防できます。
運動の習慣化は血圧や血糖値を下げることにつながるほか、内臓脂肪の燃焼などによって、脳卒中以外の生活習慣病のリスクも抑えます。
まずは、日常生活の中で気軽にできる運動から始めましょう。