運動不足と生活習慣病の関係|リスクを減らすための適度な運動とは
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運動不足は、生活習慣病と深く関係しています。慢性的な運動不足は肥満や内臓脂肪の原因となるだけでなく、高血圧や心臓病、脳卒中など生活習慣病発症のリスクも高めます。

この記事では運動不足と生活習慣病の関係を踏まえ、生活習慣病のリスクを減らす効果がある運動について解説します。

運動不足が続くと生活習慣病のリスクが高まる

運動不足が続くと、高血圧や糖尿病、心臓病といった生活習慣病を引き起こす可能性が高まります。

WHOの発表によると全世界の死亡に対する危険因子として、身体活動不足は高血圧、喫煙、高血糖に次いで第4位となっています。

また、令和3年版厚生労働白書によると、日本においても身体活動不足は喫煙、高血圧に次いで死亡に関するリスク要因の第3位であり、年間約5万人が運動不足によって亡くなっています。

運動不足はなぜ健康に悪い影響を与えるのか

運動不足が健康に与える最大の悪影響は、肥満です。

肥満には高血圧や糖尿病、脂質異常症など、さまざまな合併症のリスクがあります。また、内臓脂肪の増加や動脈硬化によって、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気にもかかりやすくなります。

また、運動不足が続くと筋肉量が減少するため、血液の流れや糖・脂質などの代謝も悪くなります。運動不足による一番の悪影響は肥満を招くことですが、肥満ではなくても、運動不足は健康に悪影響を与えるのです。

具体的にどのような生活習慣病になるのか

運動不足が続くと、具体的にどのような生活習慣病になるのでしょうか。 ここでは、運動不足が原因で起こる7つの生活習慣病について解説します

運動不足が原因で起こる生活習慣病1:がん

運動不足は、大腸がんや乳がんのリスクを高めることがわかっています。また、運動不足によって起こる肥満も、全てのがんを発症するリスクを高める可能性があると報告されています。  

運動不足が原因で起こる生活習慣病2:心臓病

心筋梗塞や狭心症といった心臓病の主な原因は、動脈硬化です。糖尿病や高血圧といった動脈硬化を促進する病気は運動不足によって起こるケースが多いため、運動不足は心臓病の原因になるといえるでしょう。

また、運動不足による肥満やメタボも動脈硬化のリスクを高めます。

運動不足が原因で起こる生活習慣病3:脳卒中

脳血管障害とも呼ばれる脳卒中は、動脈硬化によって脳の血管が詰まったり(脳梗塞)、脳の血管が破れたり(脳出血・くも膜下出血)する病気です。

脳卒中の最大の危険因子は高血圧なので、高血圧の原因の一つである運動不足は脳卒中の原因ともいえるでしょう。

適度な有酸素運動は血液の流れを良くするため、動脈硬化や血の固まりである血栓ができてしまうことを予防する効果もあります。(血栓が形成されると脳梗塞につながることがあります。)

運動不足が原因で起こる生活習慣病4:糖尿病

糖尿病の主な原因は、運動不足や食生活の乱れです。運動不足が続くと肥満やメタボを招き、血糖値が上がりやすい状態になるため、糖尿病のリスクが高まります。

適度な運動は血糖コントロールを改善し、内臓脂肪の燃焼を促進するため、運動療法は糖尿病の重要な治療法の一つといえます。

運動不足が原因で起こる生活習慣病5:高血圧症

運動不足は肥満や血行不良の原因となるため、高血圧のリスクを高めます。血圧が高い状態が続くと血管に負担がかかり、動脈硬化を促進します。

運動不足や過食によって起こる肥満の人は、肥満でない人よりも2〜3倍、高血圧になりやすいことがわかっています。

運動不足が原因で起こる生活習慣病6:肥満・メタボ(メタボリックシンドローム)

肥満・メタボは、運動不足と最も関係が深い生活習慣病といえます。特にメタボは内臓脂肪と高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさっており、心臓病や脳卒中といった命に関わる病気にかかるリスクが高い状態です。

適度な運動は内臓脂肪を燃焼させる効果があるため、運動は肥満やメタボを予防する最も有効な方法といえるでしょう。

運動不足が原因で起こる生活習慣病7:脂質異常症

脂質異常症は脂質の代謝に異常をきたす病気で、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールの値が高くなります。

脂質異常症は過食や運動不足などの生活習慣と深い関係があり、運動不足や肥満によって発症リスクが高くなることがわかっています。

自分の状態を理解する|生活習慣病のリスクをチェック 

生活習慣病は、食事や運動などの生活習慣が原因で起こる病気です。なかには、気付かずに生活習慣病のリスクを高めるような生活を送っている人もいるかもしれません。

生活習慣を改善するためには、現在の自分の状態を正しく把握することが大切です。 チェックリストを使って、生活習慣病のリスクを確認してみましょう。

>> あなたは大丈夫?生活習慣病のリスクをチェック!(出典:一般社団法人 日本生活習慣病予防協会)

各項目で「あてはまる」の数が以下に該当する場合は、生活習慣病のリスクが「要注意」と判定されます。

  • 「生活」:5個以上あてはまる
  • 「食事」:5個以上あてはまる
  • 「運動」:3個以上あてはまる

3つの項目のうち2つ以上で「要注意」となったら、生活習慣病のリスクが高い状態です。もしくは、すでに予備軍になっている可能性も高いため、食事を見直したり運動を取り入れたりして、生活習慣を改善することをおすすめします。また、年に1回は必ず健康診断を受けましょう。

生活習慣病にならないために必要な運動とは

厚生労働省により発表された「健康づくりのための身体活動基準2013」では、生活習慣病を予防するために必要な運動の基準として、以下の内容を推奨しています。

  • 歩行や掃除などの身体活動を1日60分以上行う
  • ウォーキングやラジオ体操など、息が弾む程度の運動を週に60分以上行う(1回30分以上、週2日以上の運動習慣)

運動の習慣をつけるために、まずは以下のように日常生活の中で身体を動かす機会を積極的に増やしましょう。

  • エスカレーターやエレベーターではなく、階段を使う
  • 通勤や買い物など、短時間でも歩く機会を増やす
  • 掃除や洗濯などの家事で、身体を動かすことを意識する
  • 家事の合間にストレッチや軽い筋トレを行う

現在より10分だけでも長く身体を動かすことで、生活習慣病のリスクが3〜4%減ることがわかっています。「今までよりも10分長く歩く」など、できる範囲で生活に取り入れましょう。

運動を習慣化して生活習慣病を予防する

健康のためには適度な運動が必要であるとわかっていても、自信をもって「普段から運動している!」といえる人はあまり多くないでしょう。

急にウォーキングやジョギングなどの運動を習慣化するのは難しい、という人は通勤や家事など、日常生活の中で身体を動かすことから始めるとよいでしょう。

運動は、継続することが何より大切です。運動を習慣化して、生活習慣病を予防しましょう。

文・WELLXiL編集部