人によってさまざま-個人によって変わる理想の睡眠時間とは
(画像=Chinnapong/stock.adobe.com)

普段、どれくらい眠っていますか? 「毎日8時間は寝ないと体力がもたない」「3、4時間しか寝ていないけど問題ない」など、人によってさまざまです。実は、「理想の睡眠時間」は人によって異なると言われています。自分にとって「ちょうど良い」睡眠時間を見つけることが、日中、快適に過ごせる重要なポイントです。

今回は、睡眠時間の目安や睡眠を大きく左右する体内時計との関係について紹介します。

適切な睡眠時間はどれくらい?

「睡眠不足を解消したいけど、適切な睡眠時間はどれくらいだろうか?」と疑問に思ったことはありませんか? 実のところ、「適切な睡眠時間」に絶対的な基準はありません。睡眠は、年齢や体質により個人差があると言われています。日中、眠くなって寝てしまうということがなければ、特に「何時間眠らなければならない」とこだわる必要はないそうです。

目安は6~8時間

「適切な睡眠時間にこだわらなくても良い」とは言うものの、大まかな目安を知りたい人もいるでしょう。一般的には6~8時間程度の睡眠時間を確保すれば、日中に眠気が出て生活に支障をきたすということは避けられるようです。

しかし、「絶対に8時間は眠らないといけない」と自身にプレッシャーをかけると、逆に脳が興奮してしまい眠れなくなるケースもあります。「6~8時間」はあくまで目安として捉え、多少睡眠時間が短くなってもリラックスして眠ることに重点をおきましょう。

長時間眠る人もいる

目安の6~8時間より長い、「毎日10時間以上」眠ってしまう人もいます。目安の睡眠時間よりも長く眠ってしまう人のことを「ロングスリーパー(長時間睡眠者)」と言います。

ロングスリーパーは体質による部分が大きく、何か病気を抱えているわけではありません。日中、眠くなることなく生活できているのであれば特に問題ないでしょう。しかし、夜ふかしをして普段より遅い時間に寝てしまうと、翌朝、睡眠時間が不足して決まった時間に起きられない可能性もあるので注意が必要です。

年齢により変化する睡眠時間

睡眠時間は年齢によっても変化すると言われています。

年齢を重ねるほど短くなる

スタンフォード睡眠疫学研究センターのMaurice Moyses Ohayonを中心とした複数名によって行われた、「小児期から老年期までの定量的睡眠パラメータの調査」では、年代ごとの平均睡眠時間は、下記の通りです。

◯幼少期(~10歳)…8~9時間
◯少年期(~15歳)…約8時間
◯青年期(~25歳)…約7時間
◯成人期(~45歳)…約6.5時間
◯中年期(~65歳)…約6時間

人は、年齢を重ねるにつれて睡眠時間が短くなる傾向にあります。「歳をとったら長く眠れなくなった」と悩む人もいますが、あくまで加齢によるところが大きいのでそれほど心配する必要はありません。

また、高齢になると早寝早起きになる傾向も見られます。原因は、人の生活リズムを支える「体内時計」です。体内時計が加齢により変化した結果、血圧や体温、ホルモンバランスなど睡眠を支える生体機能のリズムが徐々に前倒しになり、早寝早起きになります。

加齢とともに眠りも浅くなる

加齢により睡眠時間が短くなるだけでなく、眠りが浅くなる傾向も見られます。理由は、年齢とともにノンレム睡眠の深さが変化するためです。

人は寝ているとき、眠りの深い「ノンレム睡眠」と眠りの浅い「レム睡眠」を繰り返します。高齢になるとノンレム睡眠が浅くなり、「眠りが浅い」と感じるようになるそうです。

若い頃と比較して眠れなくなったと感じるのは、加齢に伴う体質の変化によるものと言えます。

季節とともに睡眠時間も変化

睡眠時間は、季節によっても変わります。季節により睡眠時間が変わるのは、体内時計が日照時間と関係しているからです。

人は陽の光を浴びることで体内時計をリセットします。例えば、秋から冬にかけて日照時間が短くなるため、陽を浴びる時間も少なくなり、結果として睡眠時間が長くなるのです。反対に、日照時間が長くなる春から夏にかけては、睡眠時間が短くなります。

睡眠と体内時計の関係

体内時計は睡眠に大きな影響を与えています。

体内時計が睡眠をコントロール

睡眠時、脳が分泌するのは、「睡眠ホルモン」と呼ばれる「メラトニン」です。朝、陽の光を浴びて体内時計がリセットされると、メラトニンの分泌が止まります。そして、14~16時間経過した後、メラトニンの分泌が再開し、徐々に眠くなるのです。

朝型か夜型かは体内時計の機能で決まる

体内時計の機能は人によってさまざまです。体内時計がメラトニンの分泌を止める指示を平均より遅いタイミングで出す人は、夜ふかししがちな「夜型」の生活リズムになるでしょう。反対に、早い時間にメラトニンの分泌が止まれば、早く寝て早く目が覚める「朝型」になります。

「朝が苦手というのはやる気の問題だ」と悩む人も多いかもしれません。しかし実は、性格よりも生まれ持った体内時計の機能や体質の問題であると考えられているのです。

睡眠不足は体内時計を狂わせる

適切な睡眠時間は人によって異なると述べましたが、日中、眠くなる時間が多いようであれば睡眠が不足しているかもしれません。睡眠不足になると体内時計が狂い、適切な睡眠コントロールができなくなります。すると、睡眠の質が下がり、睡眠時間は十分確保していても疲れが取れない、目覚めが悪いなど満足した睡眠を得られません。

睡眠不足が続いているなら、生活習慣や食生活を見直し、体内時計を整えるようにしましょう。

自分に合った理想の睡眠時間を見つけよう

最適な睡眠時間は季節や年齢によって変わるだけでなく、生まれもった体内時計の性質により異なります。また、理想の睡眠時間を確保するには、普段から体内時計を整えておくことも重要です。体内時計の管理を意識して、その時々で自分に合った理想の睡眠時間を見つけましょう。

文・WELLXiL編集部