
「お酒をやめたくても、やめられない」
「ギャンブルばかりして、家族が困っている」
これらは、依存症の一つです。
依存症は、本人に自覚がないため再発するリスクが高く、継続的な治療が必要です。
この記事では、依存症について解説します。
依存症とは
依存症とは、特定の物質や行為がやめられず依存してしまう病気です。例えば、お酒や薬物、ギャンブル、買い物などが依存する対象としては代表的。物資や行為への依存をやめたいと思っていても、繰り返してしまう状態であり、自分で自分がコントロールできなくなってしまいます。
繰り返すことで心や体の健康を損なってしまい、日常生活が送れなくなる可能性もあります。さらにこの状況が悪化すると、学校や会社に行けなくなったり、まわりの人に迷惑をかけてしまったり、人間関係に悪影響を及ぼします。
このように依存症は、自分をコントロールできなくなる病気ですが、早期発見して適切な治療を受ければ、改善、完治を目指せます。ただし、本人の力だけでは治療することが困難なケースもあるため、家族や親しい友人・知人の協力が必要です。
依存症の一覧
この章では、依存症の種類とその内容について解説します。依存症には次のようなものがあります。
- アルコール依存症
- 薬物依存症
- ギャンブル依存症
- ニコチン依存症
※独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターが公開している各種依存症のスクリーニングテストがあります。気になる方はお試しください。(スクリーニングテストとは、疾病率が高い人を選別する方法です。)
>> 依存症スクリーニングテスト一覧|独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター
アルコール依存症
アルコール依存症とは、アルコールを毎日飲み続けることで、次第に量や種類が増えたり、昼夜問わず飲み続けていたりと、自分でやめられない状態を指します。
たしなむ程度のアルコール量であったり、ある程度の量を飲んでも自分で理性をコントロールできて、周りに迷惑をかけたりしなければ、問題はありません。一方で、日常生活に影響を及ぼしたり精神的・身体的に影響が出ていたりする場合は注意が必要です。
アルコール依存症の人は、アルコールを飲むのをやめると体にさまざまな症状があらわれます。その症状を「離脱症状」といい、早期離脱症状と後期離脱症状に分かれます。
早期離脱症状はアルコールの摂取をやめて数時間で身体に現れ、症状には次のようなものがあります。
- 全身の震え
- 発汗
- 血圧の上昇
- イライラ感
- 集中力の低下、など
また、後期離脱症状は、アルコールの摂取をやめて2〜3日で症状が現れ、症状には以下のようなものがあります。
- 幻視(実際にないものが見えること)
- 見当識障害(場所や時間がわからなくなること)、など
アルコール依存症の人は、これらの離脱症状から逃れるために、アルコールを飲み続けてしまうのです。
薬物依存症
薬物依存症とは、いわゆる違法薬物である、覚せい剤や大麻、シンナーなどを繰り返し使用してしまう状態を指します。これら危険ドラッグは、快感中枢を刺激する性質を持っているため依存性が高く、本人がやめたいと思っても、身体が薬物を欲してしまいます。
やがて、家族や友人、仕事、健康など自分にとって大切だったものより優先度が高くなり、薬物を使い続けるためのライフスタイルを選択するようになってしまいます。薬物依存症とは、自分の心が薬物にコントロールされている状態なのです。
ギャンブル依存症
興奮を求めてギャンブルにのめり込み、どんどんお金をつぎ込み、やめたくてもやめられなくなっていく精神疾患の1つ。次第に日常生活や社会生活が営めなくなっていきます。
ギャンブル依存症の症状には、次のようなものがあります。
- ギャンブルをしないと落ち着かない
- ギャンブルにのめり込む
- ギャンブルにどんどんお金をつぎ込む
- 家族や友人、消費者金融などに借金してギャンブルをする
ギャンブル依存症の人は、ギャンブルで勝ったときの興奮や快楽を求めて、繰り返していくのです。
ニコチン依存症
ニコチンはタバコに含まれており、毎日タバコを吸うことで血液中のニコチン量が増えます。血中のニコチン量が少なくなると吸いたい欲求が抑えられず、結果的にタバコを吸い続けてしまう病気がニコチン依存症です。
タバコを止めることで生じる症状を離脱症状といい、次のようなものがあります。
- イライラする
- 不安が強くなる
- 落ち着かない
アルコール依存症と同様、離脱症状から解放されたいためにタバコを吸い続けてしまうのです。
依存をやめられない理由
依存を止められないのは、脳に原因があるからです。
例えば、ギャンブルや薬物を摂取することで快楽物質(ドパミン)が脳内に放出されます。ギャンブル、薬物=楽しい、心地よいと感じます。これを脳は報酬と認識し、快楽や高揚感を求める回路ができあがってしまいます。
そのため、脳が楽しさを欲すると、意思とは関係なく再びギャンブルや薬物を摂取し続けてしまうのです。
依存症の治療法
依存症の治療には、次のような方法があります。
各行政機関に相談する
各地域にある保健所や精神保健福祉センターに相談窓口があります。
専門家によるアドバイスを受ける
各行政機関の担当者などから、依存症に詳しい専門家が紹介される場合もあります。
自助グループに参加する
依存症の経験者が集まるグループに参加し、情報交換したり相談したりできます。
リハビリ施設に入所、通所する
依存者同士で共同生活をしたり、社会活動に参加したりできる施設があります。
まとめ:依存症を受け入れることから始めよう
依存症は脳の病気であり、治療が必要です。しかし、当の本人は自覚がないため、なかなか依存を止められません。
依存症は、本人がそれを受け入れることが大切であり、そのためには家族や同じ境遇の人たちのサポートが不可欠です。
文・WELLXiL編集部