
「体がだるい」「眠れない」
長引くその症状、もしかしたらうつ病かもしれません。
うつ病はこころと脳の病気ですが、治療で克服できます。しかし、自分がうつ病かどうかわからない人もいるのではないでしょうか。
この記事を読んで、まずは自分自身と向き合うことから始めましょう。
うつ病とはこころと脳の病気
うつ病は、こころと脳の病気です。原因ははっきりしていませんが、遺伝的な要因にさまざまなストレスが加わり、脳がストレスをうまく処理できず、こころとからだにさまざまな症状となって表れます。
ストレスの要因は大きく分けて、環境要因と身体的要因があります。詳細は以下のとおりです。
<環境要因>
- 仕事上でのプレッシャーや失敗、長時間労働
- 上司のハラスメントや部下との対立などの人間関係の問題
- 突然のリストラや異動、転職
- 家庭内の問題(不仲、恋愛問題、離婚、死別など)
- 友人や恋人との人間関係の問題
- 事故や災害の経験
- 金銭トラブル
<身体的要因>
- 病気や怪我(痛みや倦怠感、孤独感、焦燥感など)
- 睡眠不足
- ホルモンバランスの変化(月経・出産・更年期など)
うつ病の原因は1つではなく、さまざまな要因が絡み合って発症します。
うつ病のサイン
うつ病のサインには、こころのサインとからだのサインがあります。片方だけ表れることもあれば両方表れることもあり、複数のサインが表れることもあります。
<こころのサイン>
- 以前は好きだったことや趣味をする気力がない
- 何もしたくない
- 悲観的になる
- 気分が落ちこむことが増える
- 集中できない
- 落ち着かない
- イライラする
- 考えることが面倒になる
<からだのサイン>
- 食欲がない
- 美味しいと感じない
- 涙もろくなる
- 寝付きが悪くなる
- 早朝に目が覚めてしまう
- 夜中に何度も目が覚める
- 疲れが取れない
- 体がだるい
- 口が渇く
- 頭痛・肩こり
- めまい
- 動悸がする
- 汗が止まらない
- 便秘や下痢
- からだの節々の痛み
からだのサインだけでは、うつ病と判断するのは難しいかもしれません。こころのサインに心当たりがあっても、人によっては我慢してしまったり、周りの人に相談できなかったりして、受診に至らないこともあります。
うつ病をチェックできるツールを使ってみよう
うつ病を早期に発見するためのツールがあり、自分のこころとからだの状態を客観的に知ることができます。受診の際に持っていくのもよいでしょう。
自己診断チェックシート(SRQ-D)(出典:公益社団法人日本精神神経科診療所協)
判定結果は以下のとおりです。
- 10点以下:うつ病である可能性は低い
- 11~15点:境界領域
- 16点以上:うつ病の可能性あり
うつ病は、早期発見・早期治療が有効とされています。チェックリストで16点以上だった場合でも、その結果がすべてではないため、より詳しく調べるために受診することをおすすめします。
「休日はぐったり」「やる気が出ない」という時の対処法
「休日はぐったり」「やる気が出ない」といったうつ病のサインがある場合の対処法は、以下の3つです。
- まずは十分な休息をとる
- それでもつらい場合は受診する
- 治療を受ける
1つずつ解説します。
まずは十分な休息をとる
うつ病のサインがある場合は、何よりもまず十分な休息をとりましょう。十分な休息とは、「何もしないこと」です。
うつ病の傾向がある人は「休むことは悪いこと」と思っており、常に何かをしていなければならないと考えています。何もしないとさまざまな刺激がなくなるため、心身ともにリラックスできます。
十分な休息が取れない場合は、入院も検討しましょう。「入院」と聞くと、「行動が制限され、かえってストレスを感じるのではないか」と思うかもしれません。しかし、環境をガラっと変えることで、うつ病の症状が軽くなるケースもあります。
いずれにしても、まずはこころとからだをしっかり休ませましょう。
それでもつらい場合は受診する
休息をとったにもかかわらず、苦しい症状が続く場合は病院へ受診しましょう。
適した診療科は精神科あるいは神経科ですが、ハードルが高いと感じる場合は、まずはかかりつけ医に相談するとよいでしょう。その際に自己診断チェックシートの結果を持っていくと、状況によっては専門医を紹介してくれます。
1人で抱え込まず、まずは医師に相談しましょう。自分の状況を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になるはずです。
治療を受ける
医師に「治療の必要がある」といわれたら、治療を受けましょう。うつ病の治療には、薬物療法と精神療法があります。
薬物療法では主に抗うつ薬が使われますが、薬の効果が出るまで2〜4週間かかります。また個人差はありますが、うつ状態の改善には時間がかかります。治療中は、医師の指示どおりに薬を飲むようにしましょう。途中で飲むのを止めたり、自己判断で薬の量を調整したりしてはいけません。治療の効果を正しく判定できなくなるからです。
精神療法で主に行われるのは「認知行動療法」です。これは、医師との話し合いの中で「否定的な思考」を「柔軟な思考」に変えていくものです。
専門の医師が、個人の状況に合わせて治療方針を決めます。治療中に不安なことや気になることがあれば、何でも気軽に相談してみましょう。
つらいときはがんばらなくてもいい
うつ病は、遺伝的要因にさまざまなストレスが加わって発症します。その症状は多岐にわたるため、つらい思いをしている人もいるでしょう。
自己診断チェックシートを用いれば、うつ病の早期発見につながります。抑うつ傾向と判定されたら、がんばらずに十分な休息をとりましょう。それでもつらい場合は、専門医に相談することをおすすめします。
文・WELLXiL編集部