社員の健康増進はもう必須?企業と自治体の取り組み事例を紹介
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社員の健康増進は、人手不足と並んで企業が取り組むべき課題として上がっており、経済産業省を中心に国が推進する取り組みでもあります。大企業を中心に取り組みの輪が広がっており、企業戦略における社員の健康増進は今後必須となるでしょう。

社員の健康増進に取り組む国内外の企業

社員の健康増進を企業戦略として実施することを、健康経営といいます。少子高齢化や人手不足による業務負担の増加や健康保険料の企業負担増加など、企業がさまざまな経営問題を抱える中、社員の健康とモチベーションの維持は欠かせません。

そのような状況の中、企業戦略として健康経営に関心を寄せる経営者が増え、国内外を問わず社員の健康増進に取り組む企業も増えています。

まずは国内外の3つの企業の「健康経営」についての取り組みを見ていきましょう。

株式会社ローソン

コンビニ大手のローソンは健康経営銘柄に4回、健康優良法人に2回選ばれるほど社員の健康増進に力を入れています。社員の健康増進施策の一環として、店舗社員から経営陣までが参加するスポーツ大会などのイベントや元気チャレンジ制度を導入しているそうです。

健康チェックなどのタスク実行でポイントが付与されるローソンヘルスケアポイントといったプログラムも展開しており、グループ社員の健康の維持向上に取り組んでいます。

コカ・コーラ

コカ・コーラは、社員が家族や友人とともに幸せに生活ができる豊かな文化を目指しており、社員の幸福度を高めるための福利厚生を整備しています。

企業戦略として、幸福に関する情報提供や健康維持の支援などを通じて社員の健康増進に取り組んでいます。

具体的な施策は、医療費負担の軽減を目的とするファイナンシャルプランサービスや、通常の環境から離れてリーダー主導でランチタイムに歩くプログラムなどです。

サントリー

飲料大手のサントリーは、5年連続で健康経営優良法人に認定されています。

グループ社員全員を対象にしたウォーキングイベントやラジオ体操などの健康促進のほか、働き方改革に応じてポイントを付与し、そのポイントに応じた商品交換制度を導入しました。

健康経営と働き方改革を推進する好事例といえるでしょう。

自治体での取り組み事例

健康増進の取り組みを行っているのは、国内外の企業だけではありません。自治体が中心となって、地域ぐるみで健康増進に取り組む事例も増えています。少子高齢化によって平均寿命が延びているため、高齢になっても自立した生活を送れる健康寿命も延ばす必要があります。

特に若い人材が減少している地方においては、高齢者の健康寿命を延ばすことは地域活性化に欠かせません。

岐阜県下呂市

岐阜県下呂市は、国民健康保険加入者の脳血管疾患患者数が県内でワースト1位でした。3歳児の約8割が基準値以上の塩分を摂取していることを受けて、官民一体で減塩による健康寿命延伸の取り組みを始めています。

北海道美唄市

北海道美唄市では、市町村レベルでは初となる受動喫煙防止条例を施行しました。ステッカーやパンフレットなどを配布して受動喫煙防止を呼びかけるとともに、未成年者への喫煙防止教育にも力を入れて、健康増進に取り組んでいます。

健康増進によるメリットデメリット

社員の健康増進は企業や国にとってはプラスしかないように見えますが、実はそうではありません。健康増進への取り組みにもメリットとデメリットがあるため、これらを正しく把握した上で取り組む必要があります。

「健康増進への取り組みを始めたが、成果が出ず失敗した」ということがないようにしましょう。

健康増進のメリット

健康増進への取り組みは、社員の健康維持につながります。高いモチベーションを持って働けるようになるため、社員の成績向上、ひいては企業の業績向上をもたらすでしょう。社員満足度向上にもつながるため離職者が減り、人材流出による人手不足を解消できます。

健康増進のデメリット

社員側のデメリットとしては、健康診断の手間や診断結果などの管理が挙げられます。診断結果を同僚や上司に見られることを恐れて健康診断を拒否することも考えられるので、診断結果の使用用途や管理方法を明確にしておく必要があります。

企業側のデメリットとしては、投資効果が把握しにくいことやデータ収集や管理の手間、ジムや専門家のコストなどがあります。そのため、投資対効果を把握しながら慎重に取り組んでいかなければなりません。

健康増進に取り組んで社員が長く働ける環境を作ろう

社員の健康増進は、社員の健康やモチベーションの維持に欠かせません。社員が長く働ける環境を作ることができれば離職率の低下だけでなく、人手確保にもつながるでしょう。

さまざまなメリットがあるため、健康増進への取り組みを始める企業や自治体が増えています。しかし、健康増進への取り組みにはデメリットもあるため、始める際は十分な検討、取り組む際は十分な注意が必要です。