
ストレスには、良いストレスと悪いストレスがあります。「ストレス社会」と呼ばれる現代では、ストレスには悪いイメージがつきまといますが、上手く付き合えばメンタル回復につなげられます。
良いストレスと悪いストレスは、どう違うのでしょうか。
良いストレスと悪いストレス
物理学でいうストレスとは、「ものがゆがんだ状態」のことです。手でボールを上から押しつぶした状態を想像してください。この場合、圧力が加えられてボールがゆがんでいる状態を「ストレス」と呼び、圧力を加えている手を「ストレッサー」と呼びます。
ただし、ストレスには良いストレスと悪いストレスがあります。悪いストレスは排除する必要がありますが、良いストレスは生きていく上で非常に重要です。
良いストレスは「ユーストレス」と呼ばれ、目標達成への意欲を向上させる効果があります。悪いストレスは「ディストレス」と呼ばれ、過度な刺激やプレッシャーなどが挙げられます。
人間には、適度なストレスが不可欠です。ストレスを0にすることは難しいため、ストレスとの付き合い方を見直して、悪いストレスを良いストレスに変える必要があります。
強いストレス反応でメンタルが回復?
「強いストレス反応でメンタルが回復する」というよりは、「強いストレス反応を経験することによって、メンタルの回復方法を見つける」というほうが正しいかもしれません。例えば、新しいことに挑戦する際はプレッシャーがかかり、強いストレスを感じます。
しかし、そのプレッシャーを乗り越えて経験を積み、自信をつけることによって、何事にも動じない適応力やメンタルの回復力を身につけられます。
レジリエンスとは
経験などを通じて後天的に身に付いたストレス対処力を「レジリエンス」といいます。レジリエンスは、鍛えることで高められます。レジリエンスを高めると自己効力感が向上し、適応力やメンタル回復力が身に付きます。
ストレスと上手く付き合えるようになると、心の健康問題にもアプローチできるといわれており、近年注目を浴びています。
レジリエンスの鍛え方
レジリエンスを鍛えると、心の健康を維持して人生を生き抜くことができます。近年はテレビなどでも取り上げられるようになり、レジリエンスへの関心を深めようと社員研修やトレーニングを導入する企業も増えてきました。
自分に自信を持つ
レジリエンスを鍛える上では、自分に自信を持つことが重要です。短所も含めて自分を認めて、周りの評価ではなく自分で自分を評価してあげましょう。また「自分はできる人だ」と自己効力感を高めることで、成長のチャンスを自分で生み出すこともできます。
強いストレスを感じても、それをポジティブに捉えて乗り越えるため、周囲から「できる人」と評価され、自己肯定感が高まりメンタルの回復につながるでしょう。
感情をコントロールできるようにする
強いストレス反応をメンタル回復に活用するためには、感情のコントロールが欠かせません。例えば、ミスをした時に「自分はダメな人間だ」とマイナスに捉えると、気持ちが沈んで悪いストレスとなります。
一方で「ミスから学んで成長する」とプラスに捉えることができれば、強いストレス反応であっても自己肯定感が高まり、メンタルの回復につなげられます。
相談相手を持つ
感情をコントロールできるようになったとしても、人間は常にポジティブでいることはできません。ネガティブな感情を溜め込まないためには、相談相手を持つことが大切です。
何でも相談できる相手を意識的に作るようにしましょう。
人に頼る
1人ですべてを抱え込まず、人に頼ることも大切です。メンタルが弱い人は「人に頼ると負担をかけるので申し訳ない」と考えて、1人で仕事を抱え込む傾向があります。
1人で仕事を抱え込むと、締め切りなどに追われて過度なストレスを感じてしまいます。そうなる前に、早めに人に頼る習慣を身に付けましょう。
将来のことを考えすぎない
「事故を起こしたらどうしよう」「失敗したらどうしよう」といったように、将来のことを考えすぎると不安が募り、悪いストレスとなってしまいます。レジリエンスを鍛えるためには、将来のことは深く考えず、現在に集中することが大切です。
レジリエンスを鍛えてストレス社会に打ち勝とう
ストレスには良いストレスと悪いストレスがあり、受け手次第でどちらにもなり得ます。社会で生きていく上でストレスを0にすることはできないため、感じたストレスを良いストレスと捉えられるように、上手く付き合っていくことが大切です。
レジリエンスを鍛えると自己効力感を高まり、適応力やメンタルの回復力が身に付きます。心の健康を維持していくためにもレジリエンスを鍛えて、ストレス社会に打ち勝ちましょう。