
糖尿病と生活習慣は、密接にかかわっています。糖尿病の予防はもちろん、治療にも生活習慣の見直しが必要です。しかし、闇雲に生活習慣を改善しても、期待する効果は得られません。糖尿病を予防するためには、生活習慣の見直しの効果を理解した上で取り組む必要があります。
糖尿病とは
糖尿病はインスリンが正常に機能しないことで、血糖値(血中のブドウ糖)が高くなる病気です。ブドウ糖は食事などで摂取した糖質が分解されたもので、血液によって全身に供給されます。血中のブドウ糖を細胞に吸収させたり、脂肪細胞に蓄えたりする働きを担っているのがインスリンです。
インスリンの分泌量が減少したり、正常に働かなかったりするとブドウ糖を吸収できず、血中にブドウ糖が溢れてしまいます。これが糖尿病ですが、糖尿病には初期症状がありません。
多尿や頻繁に起きる喉の渇き、体重減少などの自覚症状が出た時には、かなり進行している場合がほとんどです。
糖尿病の種類
糖尿病は大きく4種類に分類されます。1つ目が「1型糖尿病」です。「1型糖尿病」になるとインスリンはほとんど分泌されないため、注射でインスリンを補う必要があります。
2つ目が「2型糖尿病」です。「2型糖尿病」はインスリンが分泌されにくくなったり、インスリンの効果が悪くなったりしている状態をいいます。
3つ目が「妊娠糖尿病」で、妊娠時に見つかる、糖尿病になっていない血糖値異常です。出産後に改善するといわれていますが、妊娠糖尿病の経験者は糖尿病になりやすいといわれています。
4つ目が「他の病気や薬の影響で発症する糖尿病」で、糖尿病とは関係ない病気や治療薬が原因で発症します。
糖尿病と生活習慣の関係
糖尿病と生活習慣は、密接にかかわっています。実は、糖尿病の原因のほとんどは生活習慣です。遺伝を原因とするものもありますが、2型糖尿病を発症する人の多くは運動不足や暴飲暴食、肥満、ストレスといった生活習慣が原因といわれています。
糖尿病を予防したり、進行を遅らせたりするためには、食事と運動、睡眠といった生活習慣を見直して血糖値の上昇を抑え、コントロールすることが大切です。
糖尿病になりにくい食材は?
糖尿病を予防するためには食事の見直しが欠かせませんが、単に食べる量を減らすだけでは不十分です。食べる量をコントロールしながら、食材やメニューも根本的に変えていく必要があります。
血糖値の上昇を抑えるためには、野菜やキノコ、海藻など食物繊維が豊富なものを積極的に摂るようにしましょう。食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。
また、糖質が多く含まれている炭水化物や果実、イモ類、お菓子などの食べすぎには注意が必要です。摂取頻度の多いご飯やパンなどは、食べる量を減らして血糖値をコントロールしましょう。
また、どうしても小腹がすいた時は、低糖質かつ血糖値が上昇しにくいナッツ類がおすすめです。
糖尿病の4つの対策
糖尿病になりにくい食材を紹介しましたが、その他にも糖尿病対策はたくさんあります。同時にすべてできればベストですが、つらくなって短期間でやめてしまっては意味がありません。続けることが大切なので、無理のない範囲で始めましょう。
1.過度な飲酒は控える
適度の飲酒はがんや心疾患などによる死亡率を減らしてくれますが、過度な飲酒が習慣になっている場合は量を控えてください。アルコールにはカロリーがあるだけでなく、食欲増進作用もあるので食べすぎを誘発します。
動脈硬化も進行しやすく糖尿病になりやすいため、1日の適量を守って過度な飲酒は控えましょう。
2.煙草をやめる
喫煙は動脈硬化を進行させて糖尿病の発生率を高めるだけでなく、糖尿病を悪化させます。糖尿病だけでなく、心筋梗塞や脳梗塞、がんの発生確率も高めるため、まさに「百害あって一利なし」です。
3.運動を行う
食後の運動には、血糖値を下げる働きがあります。また、筋肉量が多いと糖を多く消費するため、血糖値が下がりやすくなります。糖尿病対策を講じたいなら、適度の運動や筋トレを行って血糖値が下がりやすい身体を作りましょう。
4.睡眠をしっかり取る
睡眠不足も糖尿病の発症リスクを高めるため、睡眠をしっかり取ることも大切です。7~8時間睡眠が糖尿病のリスクを最も低下させるといわれているので、覚えておきましょう。
しかし、単に睡眠時間を確保しても意味がありません。睡眠の質も意識する必要があるので、寝る前にスマホやパソコンを見るなど、睡眠の質が低下することはやめましょう。
生活習慣を見直そう
糖尿病は怖い病気です。しかし、野菜など食物繊維が豊富なものを多く摂るとともに、適度の運動を行い、飲酒と喫煙を控え、睡眠不足を解消するなど、生活習慣を見直せば糖尿病を予防できます。
今日からすべてを改善するのは難しいかもしれませんが、徐々に改善し、糖尿病にならない生活習慣を身に付けましょう。